デンソーは6月7日、国立大学法人東京農工大学、国立研究開発法人理化学研究所、ノースカロライナ大学と、特殊な構造(グアニン四重鎖構造)を持つDNAがミオグロビンタンパク質の持つ酵素活性を増強する機能があることを発見したと発表した。
今回の発見は、ドライバーの突然の体調不良、特に心筋梗塞などを車室内のセンサーで検知することを目的に行っている基礎研究の中で見つけられた。心筋梗塞が起こった際には、体内でミオグロビンタンパク質が分泌されることが判明している。デンソーは、これをセンサーで検知することによって、心筋梗塞の予兆を早期に発見し、ドライバーの安全を確保することを目指した。
研究では、グアニン四重鎖構造を持つDNAとミオグロビンタンパク質が化学反応を起こすことで、タンパク質の酵素活性が、300倍以上増強することが明らかになった。酵素活性を増強させることで、ミオグロビンタンパク質の分泌をより検知しやすくすることができ、この機能を生かすことで、センサーで検知する際の感度を大幅に向上できる可能性がある。この発見は、がんなどの疾病マーカーの検出や、微生物やウイルスによる感染症の簡易検査手法への応用研究を加速するものとして期待されている。
なお、この研究成果は、Nucleic Acid Research(6月7日付)に掲載されている。