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2020年9月3日【テクノロジー】

デンソー、新パワステ・モーターコントロールユニット開発

NEXT MOBILITY編集部

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デンソーは、ハンドル操作をモーターの力でアシストする、次期型の電動パワーステアリング・モーターコントロールユニット(EPS-MCU)「DDA2(デンソー・デュアル・アシスト第2世代)」を開発した。

 

開発品は、6月発売の「TOYOTA新型ハリアー」に搭載された。また今後、さまざまなカーメーカ―の自動車にも順次搭載される予定。

デンソー・ロゴ

デンソーは、2015年に、自動運転時代を見据え、駆動回路とモーター巻線を2系統で持つEPS-MCU「DDA1(デンソー・デュアル・アシスト第1世代)」を、世界初開発。1つの機能を2つの系統で支えることで、万一片側の系統に問題が発生した際にも、もう一方の系統でアシストを継続し、スムーズなハンドル操作を維持することを可能にした。

 

新開発の「DDA2」では、2系統の駆動回路とモーター巻線を維持しながら、複数の部品の統合や構造の簡素化を実施。第1世代と比べて約1割小型化して低コスト化したほか、車両適合後に自動作成されるソフトウエアを車両工場で書き込む「ソフト部品化」に取り組むなどして、開発工数を削減した。

 

 

 

 

デンソーは今後も、高い性能、安全性を維持しながら製品を小型・低コスト化し、より多くの人に製品を届けること、製品の普及を加速させることで、世界中のすべての人にとって安全なクルマ社会の実現に取り組んでいくとしている。

 

 

[開発者コメント]

 

開発者近影。(左から)小柳延之氏、溝下文貴氏、村田満理氏、門池祐太氏、森唯人氏。

開発者近影。(左から)小柳延之氏、溝下文貴氏、村田満理氏、門池祐太氏、森唯人氏。

 

 

・シャシーコントロール機器技術部 門池祐太氏(ハードウエアの開発・設計)

 

「小型・低コスト」への挑戦、「つくりやすさ」の確保、「性能と品質」の維持、トレードオフにもなり得るこの3つの開発テーマすべてをいかに成立させるか。この難題に対し開発段階から製造チームと知恵を出し合い、つくる側の視点を織り込みながらチャレンジを重ね製品構造のコアを作り上げてきました。この製品はDDA1から培ってきた設計・製造技術の結晶と言えます。小型車からトラックまであらゆる車両へ安心安全な製品を普及させることを目指し、ラインアップの拡充とさらなる技術の進化を追求しクルマ社会に貢献し続けます。

 

・エレクトロニクス技術3部 溝下文貴氏(ソフトウエアの開発・設計)

 

ソフトウエアを車両工場で書き込む「ソフト部品化」は、これまでの仕事の流れや仕組みを大きく変える取り組みでした。社内の関係部署のみならず、お客さまや開発パートナーとの毎週の協議を経て、量産にこぎつけました。車種ごとに必要だったソフトウエア生成が必要なくなり、量産までの工程の簡素化、開発費の低コスト化、車両開発の短期化を実現しました。変化し続ける世の中で勝ち残れるよう「デンソーだから世に出せた」と言われるような製品の創出にこだわり、チャレンジし続けます。

 

・モータ製造部 森唯人氏(生産ライン立ち上げ)

 

製品の小型・低コスト化を目指し、複数の部品を統合するには、量産工程における高い加工技術が必要です。試作機の先行導入により、加工条件の早期確立に取り組み、設計チームや加工技術の知見者などと議論を重ねてきました。組織にとらわれず協力し合うことで、よりつくりやすい製品かつ良い生産ラインができたと感じています。生産準備にかかる時間の短縮、高品質かつ安定した供給体制の確立に向け、IoTを活用しながら進化したライン構築に取り組んでいきます。

 

・エレクトリック機器製造部 村田満理氏(生産ライン立ち上げ)

 

低コスト化を狙いに気密性を確保するシール部分をOリングから接着剤への変更することに挑戦しました。量産設備によるテストでは、複数の部署からの多くの関係者によって、設備改造・改善などのトライが繰り返され短期立ち上げにつなげたことが印象に残っています。また、私は入社後すぐに関わったプロジェクトでしたが、前向きな姿勢で協力してくれた仲間がいたからこそ成功できたと感じています。今回の経験を生かして将来的には次期型製品のライン立ち上げ業務のリーダーとして携わっていきたいです。

 

・エレクトロニクス製造部 小柳延之氏(生産ライン立上げ)

 

EPS製品の増産・多品種化・厳しい加工費目標に挑戦する中、自分自身の熱量を上げ、ECUの最速ライン開発に取り組みました。実現のために、要素技術開発として熱流体シミュレーションや高速搬送技術を取り入れた最速はんだ付装置を開発しました。また、生産開始前の品質保証チェックや治具段取りも自動化し、設備総合効率を大幅に向上させました。絶対やり切るという強い信念を持ち、事業部を超えたチームで数々の課題を乗り越え、目標を達成することができました。今後も泥臭く、諦めず、スマートに、常に熱量を上げながら世界一のECU製造工程構築に挑戦していきます。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。