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2020年10月5日【テクノロジー】

デンソー、IoTプラットフォームを自社開発。世界130の工場接続

NEXT MOBILITY編集部

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デンソーは、「あたかも一つ屋根の下にあるかのごとく」というコンセプトの下、世界130工場をIT、IoTの技術でつなぐ、Factory-IoTプラットフォームを開発した。

 

オープンソースソフトウエア(*1)を活用したクラウドネイティブ(*2)なプラットフォームの自社開発は業界初。今回開発したプラットフォームにより、工場の様々な機器から収集したデータを一つのクラウドに蓄積し、自由に活用できるようになると云う。

デンソー・ロゴ

デンソーは、プラットフォーム開発にあたり、①社内のソフトウエア技術者が運用開始後も継続してプラットフォームを改善、進化させられること、②小さな試行を素早く繰り返すアジャイル開発でスピード感をもって開発できること、③開かれたプラットフォームとして社内外のパートナーとデータを共有でき、共に改善やアプリケーション開発を進められること、の3要素について重視。

 

その結果、既存のサービスを使うのではなく自社開発することとし、約2年間の開発期間を経て、昨年10月にその運用を開始。今後は順次、Factory-IoTプラットフォームに世界130工場を接続するとともに、使いこなすための教育や、アプリケーション開発者の育成も進めていくと云う。

 

これにより、デンソーは、各地の需要に合わせた生産変動などにも即座に対応できるグローバルな生産体制の強化や、作業者の動きや生産設備の稼働状況などのリアルタイムな分析を行い、また、積み重ねてきた物理的な改善活動に、現場のエンジニア自らがデジタルの力を取り入れることで、改善をさらに加速させていくとしている。

 

 

*1)オープンソースソフトウエア:無償で公開され、誰でも自由に使用できるソフトウエア。
*2)クラウドネイティブ:クラウドでの運用を前提にオープンソースソフトウエアで複数のアプリケーションを協調制御するシステム開発手法。

 

 

[開発者コメント]

 

ソフトウェアエンジニアとしてプラットフォームの設計、データ基盤開発を担当した生産技術部の黒田雄大氏は、以下のようにコメントしている。

 

「モノづくりの現場で生産技術の業務にあたる中で、『この手順は自動化できそう』、『IoTの力でもっと楽にできるはず『と感じることがあり、ソフトウエアで少しでも効率化させ、新しい楽しさを生み出したいという思いで今回のプロジェクトに参画しました。

 

ソフトウエアの内製にあたっては、クラウドの利用など初めての経験が多く、従来のメンバーだけでは理解しきれない部分がありましたが、社内外の専門家やMaaS分野に取り組む部署など、スキルも発想も多様な仲間が結集し、同じビジョンを共有することで乗り越えることができました。この過程では、技術者としての自己成長につながりましたし、多様なアイデアや意見を認め、尊重しながら進めるデンソーの風土が成功の鍵になったと思います。

 

製造業に対して、もしかするとルーティンワークの多い仕事というイメージを持たれるかもしれませんが、実はまだまだワクワクする領域が広がっています。これからは、製造部門の社員が簡単にアプリケーションの開発や、データ基盤を用いた分析をできるようにプラットフォームをアップデー卜していきたいと思います。モノづくりの面白さを最大化するために、ルーティン業務の圧縮と、新しい働き方の創出に貢献できればと思います」。

 

 

 

 

また、プラットフォームのシステム構想企画、活用促進・ユーザー満足度向上活動を担当した生産技術部の野木大輔氏は、以下のように話している。

 

「当初、アジャイル開発など近年のソフトウエア開発における世の中の潮流と、デンソーの工場システム開発の間のギャップに危機感を感じ始めていました。そこで、社外にも通用するソフトウエア技術を採用し、システム構築後もスピーディーに進化し使い続けることができるものにするため、システム構築と並行してそれらの技術に精通する人材を確保しなくてはならないという使命感を持って臨みました。

 

そして、従来の開発手法やパートナーありきではなく、若手メンバーが原動力となり勇気を持ってこれまでの常識を飛び出し、新たなパートナーと連携できたことが今回のポイントだと感じています。そのような前例のないチャレンジに対し、上司・役員が理解を示し、後押ししてもらえたこともプロジェクト推進には欠かせませんでした。

 

デンソーのモノづくりは『物』と『者(人)』と言われますが、今後ますます大きくなる『デジタル化』のニーズに対して、『デジタル化を使った問題解決のプロ』が世界中の工場で育ち、継続的にモノづくり基盤が強化されていくようなプラットフォームにしていきたいです。製造業がモノに対してもコトに対してもより一層クリエイティブな仕事になっていくための道具として、今回のプラットフォームが貢献できればと思います」。

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。