デンソーは2月3日、製品やサービス開発におけるPoC(Proof of Concept)に必要な環境を、短期間で簡易に実装可能にするサービス「D-tote(ディートート)」を開発したと発表した。
今年度より同社内で利用を進めており、今回、D-toteにつながる社有車「toteCar(トートカー)」によるデータ収集も開始した。
CASEの進展や未来のモビリティ社会を見据え、新たな領域の製品やサービスの開発を進めるデンソーでは、多様な開発プロジェクトが進み、膨大な数のPoCが行われている。プロジェクトごとにPoC環境を構築するため、システムやデータの再利用が難しく、また、構築や運用に関するノウハウも蓄積されていかず、多くの時間とコストがかかっていた。D-toteはこのような課題感を背景に開発されており、PoCプロセスをDXにより効率化することで、製品やサービス開発のスピードアップを実現する。
■D-toteとは
「部品のすべてを手の中に-All of the parts on your hands-」をコンセプトとして、共通利用が可能な基盤をベースに、車載器のレンタル・設置から、車載センサーなどとの接続、クラウドへのデータ送信と集積、プロジェクトへのデータ提供まで、PoCにおけるデータ収集プロセスを一貫して行うサービス「D-tote」を開発した。短時間で簡単に環境をセットアップできるため、ソフトウェアやクラウドに知見のないユーザーでも手軽に利用することが可能。時間とコストを費やすことなく、データ収集と利活用を進め、より付加価値の高い製品や、サービスの開発に集中できる環境へシフトすることを目指す。
■D-toteの特徴
・PoCにおけるデータ収集を共通基盤化することで、新規構築の工数を最小化。製品やサービス開発に必要なデータ分析を効率化し、開発期間の短縮に貢献。最短1日でのセットアップも可能。
・長期間かつ複数車両からのデータ収集が簡単になり、実車評価の効率化に貢献。
・車載器上のアプリケーションとクラウドとで双方向通信を行うため、複数台に対して遠隔から一度でアプリケーションの配布・変更・更新が可能。
・D-tote側で全体のセキュリティや運用管理を行うため、ユーザー側でのケアが不要。
また、D-toteにつながる社有車「toteCar」の運用も開始した。車両にあらかじめ搭載されている車載器にセンサーなどを取り付け、車載器のモジュールをアップデートするだけで、社員がtoteCarを利用するたびにデータがクラウドへ集積される。これにより、プロジェクトごとに車両準備や走行試験を実施することなく、効率的にデータを取得することが可能になる。
D-toteは今後、車載器や接続可能なセンサーのラインナップをさらに充実させ、収集したデータの利活用を促進し、集積された過去のデータや知見から新たな製品やサービスの検討ができるようなデータハブとしての役割も目指していく。また、社外へのサービス提供も見据え、製品やサービス開発の現場のニーズに寄り添い、ユーザーからのフィードバックを受けてアジャイルに機能を拡大していくとしている。