国際投資会社“コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR:Kohlberg Kravis Roberts/本社:米国ニューヨーク州)”傘下で、世界的大手自動車関連サプライヤーのマレリ(MARELLI)は、1月6日、CEO兼社長の人事異動を発表した。
即日発効されるこの人事では、約4年に亘ってCEO兼社長を務めたベダ・ボルゼニウス(Beda Bolzenius)氏が退任し、その後任にデビッド・スランプ(David Slump)氏が就任する。
スランプ氏は、90億ドル企業である“サムスン電子(Samsung Electronics)”の完全子会社で、コネクテッドカーシステムやオーディオ・ビジュアル製品、エンタープライズオートメーション・ソリューション、そしてIoT(Internet of Things:モノのインターネット)へのデジタルトランスフォーメーション(DX)のサポートサービスなど、自動車メーカーや消費者、企業向けのコネクテッドプロダクトおよび、ソリューションの設計とエンジニアリングを手掛ける「ハーマン・インターナショナル」からマレリに参加。その30年間のキャリアでは、ハーマンの他、ゼネラル・エレクトリック(GE:General Electric)、ランディス・ギア(LANDIS+GYR)、ABBなど、自動車とエネルギーの分野で上級管理職を担当。
ハーマンでは15年近くに亘って、グローバル・マーケット担当社長などの要職を歴任。初期に於いては戦略とM&Aをリードし、その後、現在30億ドル規模にまで成長したコンシューマーオーディオ事業を担当。そして調達、サプライチェーン・マネジメント、品質、生産を統括するオペレーション担当EVPを務めたのち、中国、インド、日本、韓国、ロシア、中南米に於けるハーマンの全事業の損益を担ったほか、ソフトウェア・サービス部門のグローバルのリーダーも兼任した。
[CEO交代にあたってのコメント]
・KKRのパートナー&マレリ・エグゼクティブチェアマン ディニッシュ・パリワル(Dinesh Paliwal)氏
「CEO在職中のベダのマレリへの献身に感謝したいと思います。彼は、業界にとって非常に困難な時期に同社をリードしてきました。ベダは、顧客基盤の多様化、コスト競争力の向上、重要技術への投資、中国市場での成長戦略などを通じて、業界におけるマレリの地位を強化するビジョンを策定し、その導入をスタートさせました。彼の退任に際して、その貢献に対し深く感謝するとともに、今後の活躍を祈念したいと思います。
マレリは、自動車業界で高評価を受けているブランドであり、オートモーティブ・ライティング、センシング技術(ライダー(LiDAR)、レーダー、カメラ)でのリーディング企業であると共に、電動化、パワートレイン、インテリア、エレクトロニクスおよびソフトウェアソリューションでも急成長していることで知られています。
今後のチャンスを活用するため、マレリはイノベーション、顧客重視、コストベースをさらに加速させる必要があります。粘り強く協調的、かつスピード感に優れたデビッドは、マレリを次の段階へと進化させるのにふさわしい人物となります。この業界とマレリの事業地域で深い経験を有する彼は、戦略的な思考に基づいて、迅速な意思決定とその実施を行うことができ、その能力は、今日のマレリにとって不可欠であり最適なコンビネーションとなるものです」。
・元CEO ベダ・ボルゼニウス氏
「自身の熟考を重ね家族と話し合い、マレリのエグゼクティブ・チェアマンであるディニッシュ・パリワルの支持と理解を得て、私はマレリのCEOを辞任する時が来たと判断しました。過去4年間に多くの分野に携わってきましたが、カルソニックカンセイとマニエッティ・マレリを統合し、世界をリードする新たなサプライヤーを作り上げたことを非常に誇りに思います。
私はディニッシュとデビッドがマレリを次のステージに進めるためにふさわしいチームであると確信しています。マレリ在職時にいただいた世界中すべての従業員からの献身とコミットメントに深く感謝したいと思います」。
・新CEO デビッド・スランプ氏。
「マレリに入社し、実績あるリーダーであるディニッシュ・パリワルやマレリのリーダーシップチームと共に働けることを大変うれしく思います。
この業界は、厳しい構造的課題の影響を受け続けていますが、私はマレリとその顧客にとって非常に大きなチャンスがあると信じています。これから組織を作り強化していく中で、すべてのステークホルダーの皆さまに誇りを持っていただけるよう、全力を尽くしてまいります。
私は、当社のコスト競争力をさらに高め、より合理的なものとし、モビリティと電動化の未来に向けてさらに注力するために、すでに導入されている戦略を確信しており、次のページを刻むために従業員とともに働けることに興奮しています」。