ダイハツ工業は10月7日、将来のカーボンニュートラルを見据えて京都(大山崎)工場を刷新させたと発表した。具体的には、同社が謳う「SSC(シンプル・スリム・コンパクト)」を進化させ、環境と人に優しい工場に仕立て直した同日、安全祈願祭と竣工式を実施した。( 坂上 賢治 )
ちなみに同社の京都(大山崎)工場は1973年の操業。その間、自社の小型車を生産した来た他、トヨタ自動車からの受託車も含め累計で約640万台の車両を生産・贈り出して来た。
そんな歴史の足跡を踏まえ、今後も同工場が未来に向けて変わらぬ競争力を維持出来るべく、車両生産工程時を含む業務上の全領域でCO2総量を大幅削減させると共に、多様な人材が働きや易い次世代工場にしていくべく、2018年の9月から約50年振りの拠点刷新を積み重ねてきた。
そして今回、装いも新たとなった京都(大山崎)工場は、永年、ダイハツが温め続けて来たモノづくり構想である「SSC」を追求した拠点作りに取り組んだ。
まずその皮切りとして、これまで分散していた塗装・組立工程を新設した建屋へ集約。これにより1台の車両に対して複数の作業者が関わるSPS( Set Parts Supply System / 車両1台分の部品を予めセットしておき作業者へ供給する方式 )の採用範囲を拡大。
加えて車両の横送り化による工程長の短縮を実施して、工程数自体を従来比で15パーセント削減。この結果、車両1台の製造で必要とする累積時間も約30パーセント短縮出来た。
更に塗装工場では、ドライブースを利用した空調リサイクルを採用。これに太陽光エネルギーの活用を組み合わせて従来比で42パーセントのCO2排出量を削減した。
また近年の工場従業員の高齢化を前提に、誰もが安全に安心して働ける配慮も行った。例えば組立工程では、車両に付いて歩きながら締付作業が出来るようにしたり、車内に乗り込んで締付作業を行えるようにするなどして、身体への負担の大きな作業の廃止に繋げた。
このような配慮は、塗装工程に於いても波及させており、塗装工程ではロボットを使った動塗布範囲を拡大。結果、年齢や体力への負荷を軽減出来る働き易い工場を実現している。
こうした新工場への刷新の取り組みを踏まえダイハツでは、「今回培った技術やノウハウを国内外に展開すると共に、〝SSCの追求による徹底した省エネ化〟〝革新技術の開発と織込み〟〝SSCの追求による徹底した省エネ化〟〝再生可能エネルギーの活用〟など、今後も複数の課題解決を通して来たる2035年のカーボンニュートラルの実現に向け取り組んで参ります」と話している。
京都(大山崎)工場の概要
所 在 地: 京都府乙訓郡大山崎町字下植野小字北細池1番
設立年月: 1973年4月
用地面積: 約17万2千㎡
延床面積: 約4万2千㎡(新築部分のみ)
設備投資: 約350億円(リファイン工事分)
従業員数: 1,669名(リファイン工事前:885名)※2022年10月1日時点
生産能力: 23.0万台(リファイン工事前:13.4万台)
生産車種: トール/ルーミー/ジャスティ、ブーン/パッソ、プロボックス