大同特殊鋼は5月16日、焼入帯鋼や帯鋸用素材を製造する王子工場(東京都北区)が3月に操業100周年を迎えたことを記念して、5月12日に王子工場で式典を開催したと発表した。
王子工場は、1922年に時計ぜんまい用焼入帯鋼を製造する“日暮里全舞工場”として操業を開始。“新理研工業”に改称した後の1955年に大同製鋼(現・大同特殊鋼)と合併し、“大同製鋼王子工場”となった。
冷延部門と焼入帯鋼部門を有した王子工場は、1958年にぜんまい生産量で国内1位となったが、その後、1984年に冷延部門が知多帯鋼工場(愛知県東海市)に集約され、2002年にはぜんまいの製造から撤退。
現在は、自動車用クラッチや製材用帯鋸を中心とした刃物などに使用される高度な熱処理技術を必要とする焼入帯鋼を製造。1931年に製造を開始した帯鋸用素材は、T.B.S.(TOKYO BAND SAW)ブランドとして東南アジアを中心に広く認知されていると云う。
式典では、石黒武社長が、これまでの感謝を出席者に伝えると共に、「王子工場の強みである操業当初から培ってきた熱処理技術をさらに進化させ、他社にはない製品を今後も社会に提供し、次の100年につなげていくことを期待しています」と挨拶した。
王子工場は、長年にわたり受け継いできた独自の熱処理技術を生かし、付加価値の高い製品を提供し続けることで、これからも社会に貢献していくとしている。
[王子工場 概要]
– 所在地:東京都北区神谷三丁目9-3
– 操業開始:1922年
– 生産品目:焼入帯鋼、帯鋸用素材
– 従業員数:22名(2022年3月31日時点)