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2022年12月26日【ソフトウェア】

コンチネンタル、CES2023でモビリティの未来を提案

坂上 賢治

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有形製品からクラウド技術迄、多様なイノベーションを展示

 

コンチネンタルは1月5~8日に、米・ラスベガスで開催されるCES2023で、安全な交通システム、イマーシブな( 没入感に浸れる )ユーザーエクスペリエンス、サステナブルな技術展示、モビリティを取り巻くソリューションを紹介すると発表した。( 坂上 賢治 )

 

発表の舞台は、1月4日15時から開かれるMandalay Bay( マンダレイベイコンペションセンター・ルームA )でのレベル2ニュースカンファレンスを筆頭とするイベントや、ルネッサンスホテル( マリオットインターナショナル系列の高級ホテル )にて行われるプライベート展示、CES会場での一般展示などが含まれる。そのリリース概要の要約は以下の通り。

 

コンチネンタル・オートモーティブのCTO、ジル・マビレ氏は「CESでは有形製品からクラウドに至るまで、全レベルの自動車に影響を与える技術を紹介します。

 

それはドライバーにとっての体験価値だけではなく、交通弱者を含むすべてのステークホルダーを対象としたモビリティ体験を指すもので、未来の交通が、より安全で、より効率的になる世界をCESでお見せします。

 

バリューチェーン全体におけるサステナブルなソリューション

コンチネンタルは、素材調達からリサイクルに至るバリューチェーン全体でサステナブルなソリューションを推進しています。

 

 

CES2023では、まずタイヤ部門から2つの持続可能なソリューション、コンチトレッドエコプラスグリーンワン( ContiTread EcoPlus Green1 )とコンチアーバン( Conti Urban )を紹介します。この商用車用タイヤは、持続可能性を追求したコンチネンタルの最先端技術です。

 

加えて効率的な電気自動車向け、交通安全システム向け、より環境に優しく地球全体をサポートするeモビリティ用に特別設計された様々なモジュール製品とセンサー製品を展示します。

 

その筆頭としてAIでは、半導体企業統合システム( Ambarella )である人工知能を搭載したSoCファミリー「CV3」を、自社コンチネンタルの先進運転支援システム ( ADAS ) に統合する技術背景を紹介します。

 

これは運転支援に関わる個別の走行要件を満たすスケーラブルな(拡張性を持たせた)ソリューションを市場に提供するためのものです。なおこの統合システムは11月に発表されたもので、これを今回ラスベガスで初めて発表する事になりました。

 

 

オートノマスでスマートなソリューション – クラウドへの接続

 

アンバレラと共に開発したSoCポートフォリオ( 自動車産業向けパッケージ )は、通常の約半分の消費電力で、取得したセンサーデータをより速く、より包括的に処理します。

 

これにより、環境認識範囲が広がり、より安全なモビリティ社会の実現に繫がります。しかも消費電力が少なく、バッテリーが軽量であるため、対象とするチップセットは様々な電気自動車に搭載可能となっています。

 

次にセンサー機能に係る技術を代表するコンチネンタルのHRL131ハイパフォーマンス(ライダー)LiDARは、より高度な自動運転機能を可能にするソリューションになります。

 

このHRL131は、パートナー企業であるエーアイ( AEye )と共同開発しました。これは、自動車業界初のソフトウェア定義による長距離ライダーであり、以前よりも検出距離が長く、早く物体検出できるように設計されています。

 

HRL131を搭載した車両は300メートル以上の距離を、歩行者は200メートル以上の距離まで検出出来ます。この技術により、乗用車、商用車向けアプリケーションの多くを包括します。

 

例えば悪天候時に、遠く離れた場所から高速でレンガなどの小さな障害物を検出する機能は高速道路での自動操縦に加えて、ハブ間の自動トラッキング(カメラによる自律的な対象追跡)を進めるために重要になります。

 

同製品は、生産前サンプルテストと検証を2023年に実施。量産開始は来たる2024年末を予定しています。

 

 

より安全で排出量が少なく、より快適な運転を実現する技術を提案

 

このような自動車に関わる様々な自動化が進む事で、自動車技術はより完成度を高めた高度なシステムとなります。例えばコネクテッドカーは、より安全で便利になり、まさしく車輪付きコンピューターになっていきます。

 

特にソフトウェア・デファインド・ビークル( ソフトウエア重視の開発車両 )とコネクテッドモビリティ( 繫がるクルマ )には、より多くの知能とコンピューティングパワーが必要ですが、現在の車両アーキテクチャは限界に達しつつあります。

 

そうしたなかでコンチネンタルの高性能コンピューター ( HPC )は、フォルクスワーゲンのID.electricシリーズ( IDシリーズのEV )で最初に導入され、サービス指向の集中型車両システムアーキテクチャに移行するための機能を拡張しました。

 

CES2023では、サーバーゾーンアーキテクチャ( クラウドサーバーを介した繫がる車両技術 )がこの進化を次のレベルに引き上げる方法を紹介します。

 

具体的には、ゾーン制御ユニット ( ZCU ) が車両機能を物理ゾーン毎に統合するため、車載アーキテクチャはさらに最適化される事になります。

 

 

ゾーンコントロールユニットは、ソフトウェア・デファインド・ビークルの鍵

そんなZCUは、より複雑なソフトウェア機能を継続的にアップデートさせ、ソフトウェア・デファインド・ビークル( 車両開発で、まずソフトウェアを定義し、その後にハードウェアの使用を決めていくクルマを指す )の可能性を最大限に引き出します。

 

このようにソフトウェアとハードウェアの分離を進める事で、ZCUは車両ネットワークの複雑さの軽減とコスト削減を可能にします。

 

コンチネンタルのZCUプラットフォームはスケーラブルで( 拡張性を持ち背つつ )モジュール式である( 規格化されている )ため、自動車メーカーは車両アーキテクチャの設計に最大限の柔軟性を持たせる事が出来ます。

 

従ってハードウェア、ソフトウェア、サードパーティソフトウェア、サービスおよび機能の完全な統合が可能です。このアプローチにより、コンチネンタルは自動車メーカーが、スピーディーかつリーズナブルな投資コストで新たなソリューションを導入する事を可能にします。

 

未来のモビリティのためのソフトウェア

 

これらのコンチネンタルはコンチネンタル・オートモーティブ・エッジ・フレームワーク ( CAEdge )により拡張性を高めたソフトウェアは、全ての自動車に対して新しい可能性の扉を開きます。

 

これは車両をクラウドに接続し、自動車の開発者へ手軽にソフトウェアの拡張機能を提供するソフトウェアフレームワークとモジュラーハードウェアの組み合わせとなっています。

 

結果コネクテッドカーは、都度毎のソフトウェアアップデートにより車両の進化がライフサイクル全体にわたって持続されていきます。またドライバーは、将来発明される未来機能を自分のクルマに追加出来るようになります。

 

 

イマーシブな運転体験を実現させるイノベーション

 

なおコンチネンタルは運転自体をより安全なものにしていくだけでなく、ドライバーにとって、運転がより直感的でイマーシブな( 没入感の高い )ものにする事に重点を置いています。

 

例えばユーザーエクスペリエンス( ユーザー体験 )が自動車購入者にとって重要な要素になりつつある中、コンチネンタルのディスプレー技術は車内インテリアが「新たな魅力」になりつつある事を表しています。

 

その訴求方法のひとつとしてCES2023では、コックピットの全幅にまたがる湾曲したディスプレーであるカーブド・ウルトラワイド・ディスプレーを展示します。

 

この「ウルトラワイド」とは、1.2メートル以上の幅を意味し、その形状は一方のAピラーからもう一方のAピラーにアーチ状になっています。

 

そんな前衛的なディスプレーデザインは、ユーザーエクスペリエンスの新しい次元を生み出し、シャイテク( Shy Tech/通常は視界に入らず、必要な時にのみ浮き上がってくるスイッチなど目立たないスマート技術 )をベースとしたコントロールパネルにおける革新的な操作コンセプトで、より高い安全性と快適性を保証します」と結んでいる。

 

Released at 8:00 on January 5 / WATCH: Future of Mobility: Continental CES 2023 – LIVE

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。