ダルムシュタット工科大学、ブレーメン大学、ルーマニアのヤシ工科大学と第5段階研究成果を発表
コンチネンタル・オートモーティブの日本法人は11月16日、ドイツ本国に於ける学際的研究プロジェクト「PRORETA」の第5段階が、生産段階にまで進展している状況を日本に於いても発表した。( 坂上 賢治 )
なおこの発表内容は既にドイツ本国では10月19日時点で公表されているのもので、 今回はそれに遅れての公表となったもの。
この学際的研究プロジェクトは、2002年~2006年に行われた〝自動ブレーキと回避による事故防止のための危機回避の検討〟であったPRORETA1が皮切りで、この際の研究テーマは「ドライバーはシステムの介入を受け入れるか?」であった。
その次段階は、追い越し運転支援システム研究のPRORETA2( 2006年~2009年 )、更に都市交通向けの運転支援システムがテーマとなったPRORETA3( 2011年〜2014年 )。
運転者が通常どのように反応するのかをインテリジェントに学習するべく車載システムを研究するためのPRORETA4( 2015年~2018年 )を経て、最新の自動運転のための人工知能手法を検討するPRORETA5に漕ぎ着けたもの。
ここまでの20年の研究協力を経てコンチネンタルは、そのプロジェクト結果をダルムシュタット工科大学、ブレーメン大学( ともにドイツ )、ルーマニアのヤシ工科大学と共に発表した。
コンチネンタルでは「過去のPRORETAプロジェクトで得た研究成果の多くは、既に生産段階にまで発展しています。
例えば、緊急ブレーキアシストや高速道路での自動運転などは現代の自動車に取り入れられています。これは産業界と研究セクターの連携が、事故回避、ドライバーの負荷軽減、自律走行の実現を支えるソリューション開発に役立つ事を示しています。
それを踏まえ最新のPRORETA5研究プロジェクト( 2019年~2022年 )では、自動運転のための人工知能手法検討を目的に据え「都市交通の安全性を高める、市街地の自動走行のための構成要素」をテーマに、都市交通に於ける自動運転車両の状況の理解と移動計画に焦点を当てました。
ここでは特に自動運転にとって最も要求の厳しいタスクの1つである〝市街地の複雑な交通状況の認識〟と、その状況下でアルゴリズムが適切な運転判断をセンサーデータから導き出して行く方法について研究しました。
例えば、信号のない交差点では人間の介入なしに、進行方向、意図、優先順位の観点で全ての変数を正しく解釈する事が困難な場合があります。そこで、これを解決するためにプロジェクトの一環として人口知能用の新しいモジュールを開発しました。
具体的には、コンチネンタルがセンサーと高性能コンピューター( HPC )を搭載した車両を使用し、研究者が自動運転システムの機能と検証方法を実際の条件下で直接テストを行いました。
その手順と研究開発の事項には、オブジェクトの動的行動のマルチモーダル予測、交通規則への適合性とそのテスト、AIモジュールの不安全な動作を検出するためのロジックベースのテストを含みます。
これら計5つのPRORETAプロジェクトで、多くの研究者が開発を継続し、その研究成果を具体的なソリューション、例えば高速道路上での自動運転や自動緊急ブレーキアシストに組み込んで道路交通に取り入れる事を目指して来ました」と本レボートで綴っている。
また同社の自律モビリティ部門で無人運転イノベーション分野の責任者を務めるアンドレ・ホーム氏(Andree Hohm)は「PRORETAでの研究は、産業界の知見と大学の研究能力を融合し、要求の厳しい問題の解決策を若い科学者と一緒に見つけるために行われました。そんな共同開発で最も注目して頂きたい点は次のようなものがあります。
それは研究で得られた成果をもとに車両に実際に適用させるための基礎を築いた事。また私たちが初期のプロジェクトで開発したものの数々は、現在、道路交通で実際に目にする事が出来ている事です。こうして私たちは日々道路の安全を守り続けているのです」と話している。