電子情報技術産業協会(JEITA)は10月1日、家電・IT見本市「CEATEC2021 ONLINE(シーテック2021オンライン)のポイントや見どころなどについて説明会を開催した。10月19日~22日の4日間、完全オンラインで開催される。1日時点で300を超える企業・団体の出展が予定され、8年ぶりに大手電機メーカー8社(ソニー、日立製作所、パナソニック、三菱電機、東芝、NEC、シャープ)が出揃う。(経済ジャーナリスト・山田清志)
CEATECのWEBサイト
ソフトバンクなど約3割が新規出展者
「ニューノーマル社会における新たなチャレンジとして、これまでにない展示会の形を目指し開催した昨年のCEATECでは、述べ15万人以上がオンライン会場を訪れた。実際に完全オンラインで開催して感じたことは、それまでのリアル開催とはまったく別物であり、戸惑いや不安もあり、課題も残った。しかし、CEATECの新たな一歩を踏み出すことができたことは大きな成果だった。2021年は当初、幕張メッセとオンラインを組み合わせた開催を予定していたが、6月にCEATECの関わるすべての人たちの安全を最優先に考慮した結果、再び完全オンラインで開催することになった」
CEATEC実施協議会エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏はこれまでの経緯を説明し、「現時点で300以上の企業・団体の出展が決まっている。昨年とほぼ同程度の規模であり、今年も多くの企業が出展してもらえる。15万人超える来場者にオンラインで参加してもらいたい」と述べた。
300以上の出展者のうち、新規出展者比率は約3割であり、ソフトバンクのほか、ソフトウェアのアドビ、化粧品のポーラ、三菱ふそうトラック・バスなど異なる業界からの初出展もある。また、リーマンショック以降、相次いで撤退した大手電機メーカーも今回、再出展を決定している。
スローガンは昨年と同じ「ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC」で、21年はウィズコロナにおけるソサイエティ5.0の実現に向けて、4つの重点テーマを掲げている。その4つとは、「カーボンニュートラル」「5G」「モビリティ」「スーパーシティ&スマートシティ」だ。それぞれのテーマでキーパーソンや第一人者が講演することになっている。
例えば、カーボンニュートラルでは、10月19日に日産自動車の平井俊弘専務執行役員、デンソーの加藤良文CTO、ボッシュのクラウス・メーダー社長が講演することになっており、それぞれの取り組みを紹介する。
来場状況
20日は「5G」がテーマで、「5G利活用2021ワークショップ」や「5G高度化に向けた最新動向2021国際ワークショップ」が開催される。21日は「モビリティ」について、空飛ぶクルマの国内トップランナー企業であるスカイドライブやテトラ・アビエーションのトップによる講演や、大阪・関西万博に向けた次世代空モビリティに関するパネルディスカッションが予定されている。
そして22日の「スーパーシティ&スマートシティ」では、仙台市長や会津若松市長によるセッションのほか、加賀市、浜松市、尾道市の各市場が登壇する「首長サミット 最先端スマートシティで実現する地域社会の未来像」と題したコンファレンスが行われる。
ビデオ通話機能を新たに追加
「今年は、約3カ月間にわたってCEATECを展開するという新たな挑戦を行う。ニューノーマル時代における展示会を考えたとき、オンラインツールなどをフル活用することで、さらなる情報発信の強化や盛り上がりをつくることができるのではないかと考えた」と鹿野氏は話す。
すでに、9月9日からプレイベントスタートし、毎週木曜日に重要テーマごとのセッションが行われ、2万5000人以上の聴講があったとのことで、鹿野氏も確かな手応えを感じている。そして、オンラインツールをフル活用するために、3つの改善を行った。
1つ目が入場登録システムだ。昨年は開催初日に入場登録サイトにアクセスが集中したことで、つながらないという事態が生じた。「昨年のシステム障害の要因は、別々となっていた入場登録サイトとオンライン会場の双方向での連携が正常に動作しなかったことだった。それを今回は2つに分かれていたサイトを1つに統合し、入場登録システムを新たに構築した。これにより、来場者がスムーズに登録でき、来場が可能になる」と鹿野氏。
2つ目はビデオ通話機能を新たに追加した。昨年はリアルタイムチャットによって、来場者からの問い合わせに対応していたが、それをさらに発展させたわけだ。しかも、このビデオチャット機能は、ブラウザ上で起動するため、専用のアプリケーションをインストールする必要はないのだ。
CEATEC実施協議会エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏
3つ目は、ワクワク感や一体感を演出するための機能だ。昨年の出展者や来場者から展示会ならではの熱気がほしいという声が多く寄せられたので、今回は展示会エリアの出展者名の横に、現在の来場者数の状況が分かるマークを新設した。
今回は公式WEBサイトから入場登録完了後にログインが可能となり、ログイン後に3つの展示エリアやコンファレンスエリアへの入口が表示されここから入ることができる。展示エリアは「企業エリア」「ソサイエティ5.0エリア」「Co-Creation PARK」の3つで構成されている。
企業エリアは、ソサイエティ5.0の実現に向けたあらゆるソリューションや製品全般、特定の分野や産業、マーケットを革新的に変革するソリューションや製品、さらにはソサイエティ5.0の実現を支える電子部品や電子デバイス、ソフトウェアなどのテクノロジーを紹介する。
ソサイエティ5.0エリアでは、ソサイエティ5.0時代の新たな社会インフラとなる技術やサービス、企業、団体、自治体の取り組みを紹介。そして、Co-Creation PARKは、設立9年以下のスタートアップ企業や教育機関を対象にしたエリアで、現時点で国内外100の企業や大学、研究機関が出展する予定だ。
「CEATEC体験とは、展示会を『見て』、コンファレンスを『聴いて』、未来の社会を『感じて』『考えて』、共創に向けて『動き出す』こと。これこそが来場者に提供するCEATECの価値である。オンラインならではの特徴を活かしながら、時間と場所を超えて、多くの人にCEATEC体験をしてもらいたい」と鹿野氏は話していた。