キャタピラージャパンと大成建設は、4月26日、電子制御が可能なキャタピラー製の次世代油圧ショベルCat320をベースに、掘削・積込などの作業を自動化する技術の共同開発に着手したことを発表。
両社は、今後、各種建設機械の作業自動化に向けた技術開発を順次進め、一定規模の建設現場内で複数の建設機械を自動連携させた無人化施工の実現を最終目標として取り組んでいく。
生産労働人口の減少や高齢化が大きな社会問題となっている中、建設業界においても生産性向上や人手不足の解消は大きな課題のひとつだ。
そのため、近年、国土交通省が注力し推進しているのが、様々なICTを活用するi-Constructionで、これにより建設現場での生産性は徐々に向上してきている。
だが、建設業界におけるもうひとつの課題である人手不足に関しては、その対策が進んでおらず、今後さらなる深刻化が予想される。そのため、より一層の生産性向上への取り組みを加速させる必要が出てきているのが現状だ。
このような状況を背景に、両社が着手したのが当取り組みだ。
ベースマシンとなるキャタピラー製の次世代油圧ショベルCat 320は、生産性、テクノロジー、燃費、メンテナンスコスト、安全などあらゆる面で従来モデルを超える性能を持つモデルだ。
キャタピタージャパンによると、当建設機械は、
「電子制御油圧回路の搭載による高精度な半自動施工を実現する2Dマシンコントロールやバケット積載量計測システム(Catペイロード)の標準装備に加え、機体がCANによる制御に対応しているため、掘削・積込作業の自動化を目指す本開発のベースマシンとして最適な油圧ショベル」だという。
両社は、開発の第一段階としてまず、大成建設が2014年に開発した遠隔操作と自律制御可能な建設機械システム(T-iROBOシリーズ)の内、自律割岩システムをCat 320に実装し、2018年6月に作動テストを実施。
その結果、Cat 320の本体に改造を加えること無く、自立割岩システムを実装・作動させることが可能であることが判明した。
また、テストで実施した直径1.5m級の大型岩石の割岩作業では、90%以上の高い精度での自律作業が確認され、CAN制御機構を搭載したCat 320と自律割岩システムの高い親和性も実証されている。
2018年7月から実施した第二段階では、建設現場で頻度の高い土砂ピットの掘削とダンプ積込作業を自動化するアルゴリズムの構築を開始。
熟練工の運転技術をデータ化し活用することで、基本的な掘削積込動作を自動で円滑に動作させることと、普通ダンプトラックとの連携について実験を行っている。
今後、キャタピラージャパンでは、上記開発などを基に実証フィールドや実際の建設現場で本技術の実証試験を行うことで、将来的にはAI技術の有効活用も視野に入れつつ、さらなる開発を進める予定。
また、同社はこれら取り組みにより、建設機械の作業自動化および無人化施工技術を確立させることで、建設産業の持続的な発展や顧客のさらなる生産性向上への貢献を目指す。