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2018年10月22日【エネルギー】

カルソニックカンセイとマニエッティ・マレリ経営統合ヘ

坂上 賢治

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 FCAことフィアット・クライスラー・オートモービル・N.V.は英国時間の10月22日、マニエッティ・マレリ S.p.A.をカルソニックカンセイ親会社のCKホールディングスに売却すると発表した。これによりCKホールディングスは、マニエッティ・マレリCK ホールディングスに商号変更し、この両社の事業統合で総売上高で世界第 7 位の独立系自動車部品メーカーが誕生する。(坂上 賢治)

 

FCA・ロゴ

 

統合後の新会社はマニエッティ・マレリ CK ホールディングス名に。約2兆円の売上高で独立系自動車部品メーカーとして世界10位に躍り出る

 

 なおマニエッティ・マレリの株式価値は約8,060億円(1ユーロ=130円換算)に到達する見込みだ。なお取引交渉は規制当局の承認等を得るため2019年上半期中に完了する予定としている。

結果、統合した後の両社の合計売上高は約1兆9,750億円と、世界有数の独立系自動車部品メーカーが誕生する。また両社では世界的ネットワークを持つ独立したティア1サプライヤーを目指すカルソニックカンセイとマニエッティ・マレリの戦略目標に向けた大きな第一歩でもあると謳っている。

 

 

 統合後の新会社は、互いの製品ラインと事業エリアの相互補完を介して世界中の顧客に対してサービスを拡充を目指す体制に向け推し進めていく。また世界で約200カ所以上の工場拠点を有し、欧州、日本、米州、アジア太平洋地域に研究開発センターを有する企業となる。

 

なおこれまでマニエッティ・マレリの親会社であったFCAとは複数年の部品供給契約を締結することで合意済としている。このためマニエッティ・マレリのイタリアでの事業と製造拠点が維持されるとしている。

 

また昨今のカルソニックは、車両のコクピット回りの設計開発に注力しており、一方でマニエッティ・マレリが通信環境の技術開発に注力していることから、両社の現時点での強みは互いに理想的な補完関係になると見られている。

 

カルソニックカンセイの本社は埼玉県。新会社の本社は伊ミラノのコルベッタに。マニエッティ・マレリの売却額は株式価値で約8,060億円に達する

 

 統合後の新会社は、カルソニックカンセイの現CEOであるベダ・ボルゼニウスが日本を拠点に据えて経営にあたる予定。一方マニエッティ・マレリのCEOであるエルマンノ・フェラーリーは、マニエッティ・マレリCKホールディングスの取締役に就任する予定だ。

 

 今回の統合に関してFCAのCEOであるマイク・マンレー氏は、「マニエッティ・マレリが次のステージへと飛躍する可能性を十分に発揮できるような選択肢を慎重に検討した結果、カルソニックカンセイとの統合が、お客様、そして従業員にとって、マニエッティ・マレリの将来の成長を加速させる観点で、最も理想的な機会だと考えるに至りました。

統合後も、同社はFCAにとって最も重要な取引先であり、今後も両社の関係が一層強化されることを期待しています。今回の統合はマニエッティ・マレリの戦略的な価値が認められたものであり、価値を創造していくという当社の不断の努力の成果だと思います」と述べた。

 

 

両社の拠点と製品ラインが補完される他、FCAは複数年の製品供給に合意しイタリアの雇用維持を保証する方向へ

 

 一方、カルソニックカンセイのCEOであるベダ・ボルゼニウス氏は「われわれの業界は、大きな変革の時期を迎えており、今後も一層の激動が続くことと思われます。

そのような中、カルソニックカンセイとマニエッティ・マレリが統合し、世界 10 位に入る競争力のある自動車部品サプライヤー企業を形成することに非常に期待しています。

両社にとっては拠点、製品ラインが補完されることとなり、また、両社のお客様にとっても新会社が人材やプロセス、また、革新的な新製品の開発に一層投資することで大変意義のある統合になると思います」と話している。

 

 対してマニエッティ・マレリのCEO であるエルマンノ・フェラーリー氏は、「 マニエッティ・マレリ、カルソニックカンセイの両社は、グローバルで幅広い製品ラインと事業エリア、専門的知見と将来の可能性をもたらす画期的な日を迎えることができました。

全ての従業員が、安定性と成長性を持つ、情熱と希望そして自信にあふれた独立した大企業の一員となる素晴らしい機会となりました」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。