ブリヂストンが今回展示する月面探査車用タイヤの新コンセプトモデル
ブリヂストンは3月29日、月面探査車用の新タイヤとなるコンセプトモデルを披露した。
そしてこれを来たる2024年4月8日から11日まで米国・コロラドスプリングス市で開かれる米国最大の宇宙関連シンポジウム「第39回 Space Symposium」の日本パビリオンJapan’s Space Industry(JAXA運営)内の自社ブース内にて初展示する。
この月面探査車用タイヤの開発に取り組んだブリヂストンは、第1世代で砂漠で荷物を悠々と運ぶラクダのふっくらとした足裏から着想を得た金属製の柔らかいフエルトをタイヤのトレッド部にあたる接地面に配置する構造を採用したが、今回の第2世代の新タイヤでは、同技術を進化させつつ、月面を走る際に求められる走破性と耐久性に対応するべく新骨格構造としている。
新たな構造では、空気充填が要らない次世代タイヤ「エアフリー®」で培ってきた技術を活かして薄い金属製スポークを採用。トレッド部は回転方向に分割配置されている。これにより、岩や砂に覆われた真空空間で、激しい温度変化や、放射線にさらされる極限の月面環境下でも高耐性を実現する考えだ。
なおリアルとデジタル技術の融合によって金属製スポークの形状や厚みを、構造シミュレーションで最適化。しなやかに変形しながらも金属製スポークの局所的なひずみを最小化。加えて分割したトレッド部が接地面積を大きく取ることらよってタイヤを沈み込みを防いだ。
結果、上記の開発過程からブリヂストンの月面探査車用タイヤプロジェクトは、同社が中期事業計画(2024-2026)で探索事業として位置付けていた「エアフリー」の活用を、地球上から宇宙・月面へ拡大させたものとなった。
ブリヂストンでは、「将来的には、極限環境下で磨いた技術の蓄積を、地球上で使うタイヤにも還元し、更なる価値創造へ繫げていきます。
また同プロジェクトを通じ、ブリヂストンの新たな〝自ら極限へ挑戦する姿〟をパートナーの皆様へお示しすることで、当社の取り組みに共感頂く機会を醸成し、宇宙ビジネスに係るネットワーク拡大と、プロジェクトを通じて月面という人類が活動する新たな極限環境に挑戦することで当社が、未来のモビリティにも、なくてはならない存在となることを目指していきます」と話している。
「第39回 Space Symposium」の概要は以下の通り
・開催時期: 2024年4月8日(月)~11日(木)
・開催場所: 米国・コロラドスプリングス市
・日本パビリオンブース番号: Northrop Grumman Exhibit Center-South Hall #111
詳細:JAXAの「Japan’s Space Industry」WEBサイトへ