ブリヂストンは1月12日、ビッグデータを活用し、高収量のゴム農園実現に貢献する「パラゴムノキ」の植林計画最適化システムを開発したと伝えた。これにより、植林や収穫の工数などの様々な制約のある広大な農地に複数の品種を植林するゴム農園において、30年以上先までの植林計画を最適化。長期にわたって農園の単位面積あたりの収量向上・平準化を実現し、天然ゴムの持続可能な安定供給に貢献するとしている。
今回開発された最適化システムは、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 統計数理研究所の学術指導を経て、ブリヂストン社のゴム農園管理に関する知見に基づき土壌や病害予防といった複雑な制約を数理モデル化し、収量や面積といったパラゴムノキの農園から得られた膨大なデータに混合整数計画法※1を適用することで開発されたもの。
同システムを活用することにより、持続的に天然ゴムの高い生産性を確保するために「いつ」「どの品種を」「どの程度の量で」「どこに」植林すればよいかという情報の提供を可能にする。同社では今後、実用面での課題抽出を経て、将来的に自社農園および他の農園に展開することを検討し、世界の天然ゴム生産の持続可能な安定供給に貢献したいとしている。
2050年には全世界の人口が96億人にも達し、自動車の保有台数も24億台を超え、タイヤ生産に必要な材料量も増えていくと予想される。また、SDGsが示しているように、経済成長と環境負荷のデカップリングが求められている。現在タイヤ原材料となる天然ゴムは、「パラゴムノキ」から生産されており、産地が東南アジアに集中していることから、病害リスクや栽培面積の拡大に伴う熱帯雨林の減少が課題になっている。この課題を解決すべく、天然ゴム資源の多様化に向けた取組みとして、同社では砂漠のような乾燥地帯で栽培可能であり、熱帯地域の新たな森林伐採を低減することができるグアユールの研究開発を行っている。同社ではこれにより、天然ゴム資源の安定供給に貢献する技術を通じて、将来にかけて環境負荷低減と持続可能な事業を両立していきたいという。
同社は、「2050年にサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社であり続ける」ことをビジョンとして掲げており、事業の成長と環境影響や資源消費の拡大を切り離す「デカップリング」への挑戦をさらに進めていくため、新たな環境中期目標「マイルストン2030」を設定した。イノベーションでソリューションを提供し、安心・安全な移動を支えると共に、再生可能資源、再生資源をより広く活用しながらサーキュラーエコノミー・CO2削減に貢献するなど、環境へのインパクトをさらに改善していきたいとしている。
※1 施設の配置などを検討する際に、整数で答えが示される問題解決のための手法。