ブリヂストンは、植物原料由来イソプレンゴムの実用化に向けた研究プロジェクト「植物原料由来イソプレン及び高機能イソプレン誘導体製造技術の社会実装に向けた課題抽出」に参画する。
プロジェクトは、タイヤ原材料の天然ゴムや石油由来の合成ゴムを、植物原料由来イソプレンゴムに代替させる実用化・事業化に向け、製造技術、精製・重合技術、コスト等に関する調査研究し、課題抽出を行うと云うもの。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「スマートセル関連技術(※1)の社会実装推進に向けた先導研究テーマ(※2)」に採択されている。
天然ゴムは、パラゴムノキから採取される生物資源で、合成ゴムに比べ強度・摩耗性能や補強材との接着性能に優れるタイヤの重要な原材料。世界的なタイヤ需要の拡大で、今後も消費量が増加すると予想されている。
ブリヂストンは、天然ゴムの安定供給を目指し、パラゴムノキに関する様々な研究開発に取り組むと同時に、天然ゴムを代替する材料を人工的に合成する研究を実施。2016年には、独自の触媒技術を用い、天然ゴム以上の性能を持つ次世代ゴムを実現しうるポリイソプレンゴム(合成ゴム)の合成に成功している(※3)。
今回同社は、植物原料由来のイソプレンを用いることも可能な当該技術の実用化・事業化に向け、同プロジェクトに参画する三菱ケミカルリサーチ、JSR、三菱ケミカルと連携。タイヤ原材料の安定供給源確保や、製造プロセスの確立等、イソプレンのバリューチェーンに関わる検討課題を明確化し、植物由来原料を用いたタイヤの商用化を目指す。
また、この取組みは、ブリヂストンが2050年を見据えた環境長期目標として掲げる「100%サステナブルマテリアル化(※4)」の達成にも大きく貢献するとしている。
※1:植物や微生物の細胞が持つ物質生産能力を人工的に最大限引き出した「スマートセル」を活用し、生物機能を活用した物質生産や植物原料由来の素材開発に繋げる技術。
※2:「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発/スマートセル関連技術の社会実装推進に向けて解決すべき新規課題の検討」:http://www.nedo.go.jp/koubo/EF3_100128.html
※3:分子構造を高度に制御したポリイソプレンゴムの合成に成功 (2016年12月13日):https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2016121301.html
※4:ブリヂストンは「継続的に利用可能な資源から得られ、事業として長期的に成立し、原材料調達から廃棄に至るライフサイクル全体で環境・社会面への影響が小さい原材料」をサステナブルマテリアルと位置付けている