ブリヂストンの欧州グループ会社であるブリヂストン・フランスは、9月16日(現地時間)、保有するベチューン工場の閉鎖に向けて関係者と協議を開始した。ベチューン工場は、1961年に操業を開始した乗用車用タイヤ工場。なお同施策に関しては、仏国内に於いて人員整理のための阪大運動が起こり、同地TV報道を筆頭に積極的に取り上げられた。
現在、ブリヂストングループは、中長期事業戦略において、「コア事業」であるタイヤ・ゴム事業と、「成長事業」であるソリューション事業による独自ビジネスモデルの構築を目指している。
その実行に向け、タイヤ・ゴム事業では、生産拠点の最適化を含めた経費・コスト構造改革や、プレミアムビジネス戦略の強化等により「稼ぐ力の再構築」を推進。ベチューン工場の閉鎖は、欧州グループ会社におけるその取り組みの一環となる。
近年、欧州の乗用車用タイヤ市場では、業界の収益構造が悪化傾向にあり、加えて需要が伸び悩む低インチタイヤ(※1)の供給能力が過剰気味になるなど、競争が激化。一方、高インチタイヤ(※2)の需要は堅調に推移しているため、欧州グループ会社は、プレミアムビジネス戦略として、高インチタイヤの販売強化を進めつつ、低インチタイヤの供給能力を見直して生産性の改善を図るなど、改革を進めている。
ベチューン工場では主に、低インチタイヤを生産しているが、製造設備などの制約から高インチタイヤへの生産シフトが困難な状況にあると云う。
ブリヂストンは、こうした状況を踏まえ、ベチューン工場の操業継続のためにあらゆる可能性を検討してきたが、競争力を維持しながら同工場の操業を継続することは難しいと判断。今後、ベチューン工場閉鎖に向け、関係者と協議するとともに、影響を受ける863名の従業員とその家族、地域社会への影響が最小限に留まるよう対話を継続していくと云う。
なお、工場閉鎖が当期連結業績に与える影響については、算出可能になり次第、改めて開示するとしている。
※1:タイヤ内径(装着されているホイールのサイズ)が18インチ未満のタイヤ。主に一般的な乗用車などに装着。
※2:タイヤ内径が18インチ以上のタイヤ。SUV(スポーツ用多目的車)やスポーツカーなどに装着。
[ベチューン工場の概要]
– 所在地:フランス共和国 オー・ド・フランス地域圏 パ・ド・カレー県
– 工場長:Philippe Burnage(フィリップ・バーナッジ)
– 生産品目:乗用車用タイヤ
– 操業開始:1961年
– 従業員数:863名(2020年9月16日時点)
– 生産能力:約17,000本/日