ブリヂストンは、6月26日、スマートファクトリー構想を発表した。
この構想で同社は、商品戦略、開発、製造、販売、顧客の製品使用過程など、バリューチェーン内で保有する様々な情報を、独自のICT/IoT技術(※1)で繋ぎ、統合した情報のビッグデータ解析やシミュレーションを行い、迅速、高品質且つ効率的なタイヤ生産を目指すとしている。
同社は現在、バリューチェーンのデジタル化に向け技術革新を行っており、その基盤となるのが、同社独自のICT、「Bridgestone Intelligent Office(BIO)」、「Bridgestone Intelligent Device(BID)」だ。
2016年には、このICTを搭載した最新鋭タイヤ成型システム「EXAMATION」でのタイヤ生産も始めたが、現在はさらに「BIO」、「BID」を活用した解析/予測技術、高精度加工技術、センシング技術開発を多岐の領域で進行していると云う。
同社独自のICT/IoT技術は、頭脳部分に該当する「BIO」で、バリューチェーンに蓄積された膨大なデータの峻別と解析を行い、システム上で繰り返しシミュレーションを行うことで、設備や装置を自律化させるアルゴリズムを算出。
これを、生産システムを制御する人工知能(AI)を搭載した「BID」によって、各製造工程に実装。市場におけるタイヤの情報や開発情報を自動的に製造工程へ反映し、必要な性能のタイヤを迅速に開発・製造し提供する。
[BIO、BIDを活用した推進事例]
(1)デジタルツイン(※2)を活用した設備管理による生産効率向上
設備のコントローラから装置の作動情報を自動で抽出する同社独自のタイミングアナライザー(TA)等 を「BIO」に取り込み、設備稼働情報を仮想工場で常に把握。これにより装置故障の兆候を事前に 検知し、生産効率の向上を図る。また、これにより実工場に設置するセンサーの量を減らすことも 可能となる。
(2)熟練作業の定量データ化による製造工程の改革
現在、特に大型特殊タイヤでは熟練技能員に大きく依存しているが、その作業をセンシングによりデータ化して仮想工場に繋ぐ。そのデータ解析で得られる製造ノウハウを、若手技能員への技能伝承に活用することで、人の暗黙知に依存しない工場の実現を目指す。
(3)シミュレーションによる開発プロセスの改革
市場におけるタイヤの使われ方などの情報を「BIO」に集約し、タイヤ開発試作のシミュレーション に活用することで、開発のスピードを向上。ニーズに適合する商品を迅速に生産するためのプロセスを構築する。
※1)ICT(Information and Communication Technology):情報・通信に関する技術の総称。IoT(Internet of Things):身の回りのあらゆる機器がインターネットにつながるという考え方
※2)工場や製品などに関わる出来事をデジタル上の仮想工場にリアルタイムに再現すること