ボッシュは8月2日、アジア市場における安全システムの需要拡大に対応するため、2022年第2四半期にタイのラヨーンにあるアマタ工場でモーターサイクル用ABSの生産を開始する予定だと発表した。
アマタ工場は、ボッシュにとって日本とインドに続く世界で3番目のモーターサイクル用ABSの製造拠点となる。このグローバルな製造ネットワークにより、ボッシュは世界的なモーターサイクルメーカーが取り組むサプライチェーンの最適化をサポートすることができるとしている。
「ABS 10 lightとABS 10 baseによって、私たちはASEANの主要な交通手段である小型のスクーターやバイクに適した安全システムを提供します。四輪車用ABSシステムの生産実績を持つ工場での現地生産は、お客様にとってもメリットがあります」と、ボッシュのモーターサイクル&パワースポーツ事業部門を率いるジェフ・リアッシュは述べた。
1996年以来、アマタ工場はボッシュにおける製造拠点としての重要性が増しており、シャシーシステム、エレクトリカルドライブ、パワートレイン分野のさまざまな四輪車用部品を生産。2014年からは四輪車用ABS製品の生産も手掛けている。
東南アジアにおける二輪車の安全性向上に向けた動き
タイ陸運局は2021年5月15日、2024年以降、排気量125ccを超えるすべての原動機付二輪車の新型車へのABSの装備を義務化すると官報を通じて発表した。また、2026年からはエンジン排気量125ccを超える継続生産車にもABSの搭載が義務付けられる。
世界保健機関(WHO)によると、タイの交通事故死亡率はASEAN加盟国の中で最も高く、東南アジア全体の人口10万人あたりの死者数が20.7人であるのに対し、タイは36.2人。東南アジアでは、二輪車および三輪車による事故が、交通事故死者全体の43%を占めている。
ボッシュは交通安全のさらなる向上に貢献
モーターサイクル用ABSは、急ブレーキをかけた場合や滑りやすい路面を走行している場合でも、ライダーのブレーキ操作をサポート。車輪のロックを防ぎ、車両の安定性を保ちながら最適な形での減速に貢献する。ボッシュの事故調査報告書では、もしすべての二輪車にABSが装備されていれば、二輪車事故の約25%を防止できたとしている。
ボッシュの東南アジア担当リージョナルプレジデントであるマーティン・ヘイズは、「ユーザー重視のモビリティはボッシュの事業の核心であり、すべての道路利用者に対してモビリティをより安全にするテクノロジーを開発する原動力となっています。こうした開発を通じて、交通安全だけでなく、私たちが事業を展開している国や地域により貢献していきたいと考えています」と述べている。