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2018年11月27日【テクノロジー】

ボッシュ、量産初の曲面メーターパネルが新型VWに搭載

坂上 賢治

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フォルクスワーゲン・トゥアレグ(Touareg)に「Innovision Cockpit」として初採用

 

 独・ボッシュこと、ロバート・ボッシュGmbH(本社:シュトゥットガルト・ゲーリンゲン、代表取締役社長:Dr.rer.nat.Volkmar Denner <フォルクマル・デナー>、以下、ボッシュ)は、量産車のコックピット向けとして世界初となる曲面メーターパネルの実車搭載を発表した。(坂上 賢治)

 

 

 曲面ディスプレイ自体は、一般家庭のリビングやスマートフォン用として発売・実装されて既に永らくの期間が経っているのだが、車両向け量産部品としては今回が初搭載となった。

 

同製品についてカーマルチメディア事業部長のSteffen Berns氏は、「これまでの平面型インストルメントディスプレイの時代は終わりを告げ、ボッシュは世界初の曲面メーターパネルで車両コックピットの新たな次元を開拓します。

 

この曲面メーターパネルは、フォルクスワーゲン・トゥアレグ(Touareg)のニューモデルの「Innovision Cockpit」でデビューします。

フォルクスワーゲンでは今後、運転席周りのディスプレイを従来の平面アナログ式から、構成の自由度と解像度が優れた曲面型に移行することになっています。

 

 

新しいディスプレイでは、ドライバーが表示させたい内容に応じて、その時々でナビゲーションマップ、ドライバーインフォメーションやアシスタンスシステムのステータスなどを自由に選び、大きく表示することができます。

 

また、画面の鮮明さとコントラスト比の高さは、新しい製造工程が実現したことで生み出されたもので、太陽光の下でもパネルに反射する光を4倍以上抑えることができます」と話している。

 

 なおこのディスプレイの曲面形状は、人間の眼球の自然なカーブを模倣している。そのためドライバーは画面の下端に表示されているインジケーターのライトや警告信号も既存の平面ディスプレイに比べ、よりはっきりと視認できるようになった。

 

このような製品の利点は、すでに一般家庭のリビングに普及しつつある曲面ディスプレイで証明されていたのだが、今回のケースのように様々な姿勢で座っている状態かつ、特定距離に於いて快適に視認できるケースは人間の視野角の影響もあり限られていた。

しかし今回の車載用の曲面メーターパネルは、ドライバーに対して常に最適な視認性を確保できるという。

 

 

 先のSteffen Berns氏は、「曲面メーターパネルは、安全性や利便性の観点からもドライバーにとってプラスになります。またこのタイプのディスプレイは自動車メーカーにとっても、コックピットの設計自由度が向上し、コックピットスペース上でも余裕が生まれるという利点があります」と語る。

 

近年自動車メーカーは、機械式のスイッチ、ノブ、制御ボタン類を廃止する傾向にあるなか、大型モニターの需要は非常に高い。対して同社が提供する曲面メーターパネルは、多様なデジタル表示ができるにも関わらず、同等サイズの非曲面ディスプレイよりも約2cm省スペース化できるところが大きな特徴になっている。

 

具体的には、スピードメーター・ナビゲーションマップ・電話帳など、対角線の長さが約31cm(12.3インチ)のメーターパネルであっても、表示される内容はドライバーの好みや運転状況に応じて多様な内容を選択・表示することができる。

これはドライバーからは見えないコックピットの裏のコントロールユニットに、画面表示の制御システムが組み込まれているからで、現在の走行に関する詳細情報、ナビゲーションマップ、電話帳、演奏中のプレイリストの詳細などドライバーが一目で把握したいどのような内容についても、常に同一画面スペース上で正確に読み取れるよう制御しているからだ。

 

 

 またこれらの情報は、画面全体に個別に表示したり、他の要素と組み合わせて表示することも可能だ。そのため従来のスピードメーターのほか、ナビゲーションマップや電話帳を表示し、マルチファンクションステアリングホイールやインフォテインメントシステムのタッチスクリーンでこれらを簡単・便利に選択することができる。

さらにメーターパネルから直接ナビゲーションマップのズーム操作を行うこともでき、これはトゥアレグの「Innovision Cockpit」で初めて採用される新しい機能の1つとなっている。

 

 最後に高い視認性が可能になる内部構造についてだが、これはパネルの製造工程でインストルメントディスプレイとガラスの間に接着剤を薄く塗布して直接接着し、メーターパネルへの光の反射を4倍以上低減できるようにしているところにある。これによってドライバーは、眩しさを感じずに画面を見ることが可能になっただけでなく、直接太陽光が当たる明るい場所や、逆に暗過ぎる場所でも、同じ高コントラスト比で鮮明に表示できるようになっているとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。