フォルクスワーゲン・トゥアレグ(Touareg)に「Innovision Cockpit」として初採用
独・ボッシュこと、ロバート・ボッシュGmbH(本社:シュトゥットガルト・ゲーリンゲン、代表取締役社長:Dr.rer.nat.Volkmar Denner <フォルクマル・デナー>、以下、ボッシュ)は、量産車のコックピット向けとして世界初となる曲面メーターパネルの実車搭載を発表した。(坂上 賢治)
曲面ディスプレイ自体は、一般家庭のリビングやスマートフォン用として発売・実装されて既に永らくの期間が経っているのだが、車両向け量産部品としては今回が初搭載となった。
同製品についてカーマルチメディア事業部長のSteffen Berns氏は、「これまでの平面型インストルメントディスプレイの時代は終わりを告げ、ボッシュは世界初の曲面メーターパネルで車両コックピットの新たな次元を開拓します。
この曲面メーターパネルは、フォルクスワーゲン・トゥアレグ(Touareg)のニューモデルの「Innovision Cockpit」でデビューします。
フォルクスワーゲンでは今後、運転席周りのディスプレイを従来の平面アナログ式から、構成の自由度と解像度が優れた曲面型に移行することになっています。
新しいディスプレイでは、ドライバーが表示させたい内容に応じて、その時々でナビゲーションマップ、ドライバーインフォメーションやアシスタンスシステムのステータスなどを自由に選び、大きく表示することができます。
また、画面の鮮明さとコントラスト比の高さは、新しい製造工程が実現したことで生み出されたもので、太陽光の下でもパネルに反射する光を4倍以上抑えることができます」と話している。
なおこのディスプレイの曲面形状は、人間の眼球の自然なカーブを模倣している。そのためドライバーは画面の下端に表示されているインジケーターのライトや警告信号も既存の平面ディスプレイに比べ、よりはっきりと視認できるようになった。
このような製品の利点は、すでに一般家庭のリビングに普及しつつある曲面ディスプレイで証明されていたのだが、今回のケースのように様々な姿勢で座っている状態かつ、特定距離に於いて快適に視認できるケースは人間の視野角の影響もあり限られていた。
しかし今回の車載用の曲面メーターパネルは、ドライバーに対して常に最適な視認性を確保できるという。
先のSteffen Berns氏は、「曲面メーターパネルは、安全性や利便性の観点からもドライバーにとってプラスになります。またこのタイプのディスプレイは自動車メーカーにとっても、コックピットの設計自由度が向上し、コックピットスペース上でも余裕が生まれるという利点があります」と語る。
近年自動車メーカーは、機械式のスイッチ、ノブ、制御ボタン類を廃止する傾向にあるなか、大型モニターの需要は非常に高い。対して同社が提供する曲面メーターパネルは、多様なデジタル表示ができるにも関わらず、同等サイズの非曲面ディスプレイよりも約2cm省スペース化できるところが大きな特徴になっている。
具体的には、スピードメーター・ナビゲーションマップ・電話帳など、対角線の長さが約31cm(12.3インチ)のメーターパネルであっても、表示される内容はドライバーの好みや運転状況に応じて多様な内容を選択・表示することができる。
これはドライバーからは見えないコックピットの裏のコントロールユニットに、画面表示の制御システムが組み込まれているからで、現在の走行に関する詳細情報、ナビゲーションマップ、電話帳、演奏中のプレイリストの詳細などドライバーが一目で把握したいどのような内容についても、常に同一画面スペース上で正確に読み取れるよう制御しているからだ。
またこれらの情報は、画面全体に個別に表示したり、他の要素と組み合わせて表示することも可能だ。そのため従来のスピードメーターのほか、ナビゲーションマップや電話帳を表示し、マルチファンクションステアリングホイールやインフォテインメントシステムのタッチスクリーンでこれらを簡単・便利に選択することができる。
さらにメーターパネルから直接ナビゲーションマップのズーム操作を行うこともでき、これはトゥアレグの「Innovision Cockpit」で初めて採用される新しい機能の1つとなっている。
最後に高い視認性が可能になる内部構造についてだが、これはパネルの製造工程でインストルメントディスプレイとガラスの間に接着剤を薄く塗布して直接接着し、メーターパネルへの光の反射を4倍以上低減できるようにしているところにある。これによってドライバーは、眩しさを感じずに画面を見ることが可能になっただけでなく、直接太陽光が当たる明るい場所や、逆に暗過ぎる場所でも、同じ高コントラスト比で鮮明に表示できるようになっているとしている。