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2022年7月19日【経済・社会】

BMW、自動車製造工程の無人化へ

坂上 賢治

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BMW傘下のシステムベンチャーBMWスタートアップガレージ( BMW Startup Garage )は7月19日、完成車両の工場内輸送を、ドライバーの手を煩わせずに自立走行させる〝無人輸送プロジェクト〟の初立ち上げを発表した。( 坂上 賢治 )

 

この完成車の自立移動工程を含む「工場内自動運転プロジェクト( AFW / Automatisiertes Fahren im Wer )」は、同月からBMW7シリーズのパイロット製造工程での実施が始まった。

 

 

このAFWプロジェクトをBMWが試みる理由は、完成車両が物流エリアを自律的に移動可能になる事で、安全かつ効率的な自動車の組み立て工程の時代をBMWが新たに切り拓く事になるからだ。

 

そのためにBMWグループは、施設内輸送の効率化に取り組む韓国のソウルロボティクス社( Seoul Robotics )と、スイスの自動運転ソフトウエア開発のエンボテック社( Embotech )と協力。まずは自社( BMW )のディンゴルフィング工場で、同技術を取り入れた2台の生産車を使った試験運用を消化した。

 

この試験運用についてBMWグループでプロジェクトマネージャーを担うサーシャ・アンドレ氏( Sascha Andree )は、「工場内での自動運転は、お客様向けの自動運転システムとは根本的に異なる技術を使っています。

 

最も大きな違いは、車両自体に同システムを進めるための特別なセンサーを搭載していない点があります。従って完成車工場から車両保管場所へ自立移動を可能にするための空間センサーは工場内部の当該ルート上に組み込んでいます。

 

 

これによりAFWのシステムは、自動的に通路空間を移動していく対象車両の位置を次々と特定。移動空間の随所にある障害物と完成車両との位置をセンサーで検出しつつ、クラウド通信を介して無人の車両を移動させるソリューションを実現させています。

 

従って最初のシステム構築時には、車両の組み立て工場から完成車の保管場所へ向かう経路空間をAFWに把握させるだけでシステム構築の下準備だけで済ませられます。この下準備により組立工場の生産ラインから出た完成車両は、保管庫に向けて無人走行するようになるのです。

 

ちなみにこのパイロットプロジェクトは慎重を期して今後、数か月に亘って実行されます。その後、最初はディンゴルフィング工場に於いて更なるモデル車両を追加した上で重ねて展開され、後にBMWの他の工場でも展開していく予定です」と話している。

 

 

加えて先のスイス・スイスのエンボテック社BMWのアレクサンダー・ドマヒディ( Alexander Domahidi )共同設立者兼CTOは、「韓国のソウルロボティクス社とスイスのエンボテック社という2つの若い新興企業と、大手OEMのBMWが組んだこのプロジェクトは、おそらくこの種の取り組みの中で世界初の試みだと認識しています。

 

そんな同プロジェクトは、BMWグループ傘下のベンチャー企業であるBMWスタートアップガレージの努力によって実現したものでもあります」と語った。

 

このエンボテック社の発言を受けてソウルロボティクス社のハンビン・リー( HanBin Lee )CEOは、「同システムの完成は、最初に当社の技術に着目したBMWスタートアップガレージの同システム構築に賭ける強い意欲があったからこそです。

 

それが無ければ、このソリューションをテストする事はおろか、評価する事すら出来なかったでしょう。しかもこれは今後も続々と続くサクセス ストーリーの1つに過ぎないのです」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。