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2023年10月17日【ESG】

BMW、北米ルールに則りeモビリティの生産拡大へ動く

坂上 賢治

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BMWグループのウッドラフ工場の全景図

 

「ローカル・フォー・ローカル」の原則に沿り、e-モビリティ強化を加速

 

独・BMW AG傘下のBMWグループ・カナダは10月16日(米オンタリオ州リッチモンドヒル発)、米国政府が示す「ローカル・フォー・ローカル」の原則に沿って、e-モビリティの強化を加速するべく地域サプライチェーンの強化に動いている。同社は、バッテリーセル等の蓄電池関連部品を車両生産の近隣で調達。一次材料のサプライチェーンを段階的に現地化していくことを目指す。

 

現在、BMWの搭載蓄電池モジュールの生産を担うウッドラフ工場(米ウィスコンシン州)が、スパータンバーグの自動車生産工場(サウス・カロライナ州)へ蓄電池ユニットを納めている。そうしたなかBMWは、ベルギーの非鉄金属企業Umicore(ユミコア)と、北米に於ける現地サプライチェーン確立のために手を結んだ。

 

そのUmicoreは、米に於けるBMWの電池セルサプライヤーAESC(現在、遠景科技集団/エンビジョングループ傘下、かつての日産・NEC合弁)の電池セル工場(初期に於ける年産30GWh規模/サウスカロライナ州フローレンス郡/2026年稼働予定)へ、自社の新工場(カナダ・オンタリオ州)から正極活電池材料を供給することになる。

 

世界の3大の主要地域を俯瞰し、バランスの取れた調達戦略を追求

 

ちなみにAESCの電池セル工場では、BMW eDrive第6世代のために開発された既存製品より20%エネルギー密度が高い次世代の円筒形リチウムイオン電池セルを生産する。また同拠点は2次原料を使い、100%再生可能エネルギー由来の電力を使用することから、一連のセル生産に掛かるCO2排出量を最大60%削減できる。

 

その上に、バッテリーセルとカソード原料の生産に使用される電力が再生可能エネルギーのみであることから、BMWにとってAESC工場は、北米地域のサプライ チェーン強化の鍵となる拠点だ。というのは今後、北米域内のバッテリーセルサプライヤーは、多くの主要材料をカナダから調達する予定であるからだ。

 

BMW AGの取締役会メンバーで購買・サプライヤーネットワークを担うヨアヒム・ポスト氏は、「当社グループは現在、世界の3つの主要地域を俯瞰し、バランスの取れた調達戦略を追求しています。

 

そうしたなかでカナダが、とても重要な役割を果たしてくれていることを嬉しく思います。我々にとってAESC並びにUmicoreは頼れるサプライチェーンパートナーです」と話す。

 

米国に於ける生産拠点拡張策のための投資額は17 億米ドル

 

またBMW AG経営委員会会長のオリバー・ツィプセ氏は、「既に2022年10月の段階で、我々は米国に於ける生産拠点拡張策のための17 億米ドルの投資を発表しました。

 

この中には、ウッドラフの新たな組み立てセンターの建設コスト7億ドルが含まれており、この新しい拠点は将来的に、ピュア電動のXモデルに対して高電圧バッテリーを供給することになります。

 

その規模は初期段階で約9万3000平方メートル。第6世代のバッテリーモジュールが生産される組立センターでは、約300人の新たな雇用も創出されることになります。

 

この新たなバッテリー製造が確立した暁(あかつき)には、エネルギー密度が20% 以上高められ、充電速度と充電範囲が最大30%向上することになります。またそれと同時にセル生産時のCO2排出量が最大60%削減されます。

 

更にもうひとつの利点があり、それは蓄電池セル製造を担うサプライヤーによって原材料となるリチウム、コバルト、ニッケルの一定割合で二次材料が使用されることになることです」と語っている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。