BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)は7月8日、ドイツ東部のブランデンブルク州シュヴァルツハイデにある正極材(CAM)工場の敷地内に、電池リサイクルの試作工場を新設すると発表した。
新工場は、2023年初頭からの稼働を予定。この投資により、電池生産において新たに約35の業務が創出できると云う。
電池のリサイクルは、電気自動車市場においてCO2排出量を削減するため、市場において求められる重要な要件であることから、EU電池規則案で、ニッケル、コバルト、リチウムのリサイクル効率や材料回収目標等、より厳しい政策的措置が採られることが想定されていると云う。
BASFは今回、欧州委員会が進める欧州の電池生産バリューチェーンに向けたアジェンダへの支持強化や、EU国家補助規制に基づき欧州委員会が承認(2019年12月9日)した、「欧州共通利益重要プロジェクト(IPCEI:Important Projects of Common European Interest)」の一環として、シュヴァルツハイデ工場に投資し、電池リサイクルの試作工場を新設する。
新工場では、使用済みのリチウムイオン電池、およびセルメーカーや電池材料メーカーのオフスペック材料から、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを効果的に回収するための運用方法を開発し、正極材に必要な金属をリサイクルすることで、競争力を高め、持続的に入手できるよう、その技術を最適化。電池のバリューチェーンにおけるサーキュラー・エコノミー(循環型経済)の実現を目指す。
なお、シュヴァルツハイデ工場からの電池材料の発売および、次世代電池材料の研究開発や電池リサイクルを含むプロセス開発に関してBASFは、ドイツ連邦経済エネルギー省とブランデンブルク州経済労働エネルギー省からの資金提供を受ける(※)と云う。
BASF 貴金属・ベースメタルサービス シニアバイスプレジデントのDr.マティアス・ドールン氏は、次のように述べている。
「私たちは今回の電池リサイクルへの投資と、正極材の製造における最先端のプロセス技術により、正極材のカーボンフットプリントを業界標準に比べて合計最大60%まで削減して、『循環させる』ことを目指しています。これにより、自動車メーカーのお客様のニーズに応え、より持続可能な未来の構築に貢献します」。
※「IPCEI for Batteries」の一環として。資金提供コード:16BZF101A/B。