ドイツの総合化学会BASFは独時間の8月31日、中国の寧波杉杉股份(以下、杉杉)と全ての関係当局の承認を経て、合弁会社「BASF Shanshan Battery Materials」を設立(出資比率:BASF 51%/杉杉 49%)したと発表。この現地発表をBASFジャパンは9月6日付けで日本国内市場に向けて公表した。
杉杉は、300件以上の特許技術を保有し、中国国家標準の制定にも参加する、リチウムイオン電池の正極材、負極材、電解液の世界有数のサプライヤー。2021年にはLG化学の偏光板事業を買収し、高度な技術を持つ世界最大の液晶偏光板メーカーとなることを目指している。
今回この杉杉とBASFが設立した新たな合弁会社である「BASF Shanshan Battery Materials」は、中国の湖南省と寧夏省に4拠点に1,600人以上の従業員を有する等、原材料、正極材前駆体(PCAM)、正極材(CAM)、電池リサイクル等、電池材料のバリューチェーンにおいて、すでに確固たる地位を築いていると云う(※)。
新会社では、BASFの強固な技術力と開発力、グローバルな事業展開、そして原材料供給のための戦略的パートナーシップと、杉杉の豊富な経験、包括的な製品ポートフォリオ、優れたスケールアップ能力で、新会社は急速な成長を遂げる電気自動車(EV)市場に注力し、世界の家電製品やエネルギー貯蔵分野へも継続的に製品・サービスを提供。両者は、中国における「BASF Shanshan Battery Materials」の継続的な成長を促し、来年までに年間9万トンのCAM生産を目指すとしている。
今回の杉杉との取引完了は、16万トンのCAM生産能力を備えた、グローバルな電池材料のバリューチェーンを来年までに構築するための戦略的ロードマップを進めるBASFにとって、大きな節目になると云う。BASFは、グローバルな製造・研究開発拠点を通じて、全ての主要市場に効率性、近接性、相乗効果と共に、電池メーカーや自動車メーカーにテーラーメイドの正極材を提供していくとしている。
※BASFと杉杉が2021年に設立した合弁会社であるBASF Shanshan Battery Materialsは、2003年、杉杉によって設立され、すでに中国における正極材(CAM)のリーディングサプライヤーとして、酸化コバルトリチウム(LCO)や三元系正極材などの業界をリードする製品を提供。中国湖南省の長沙、寧郷、ならびに寧夏省の水山に4つの生産拠点を有しています。2022年には年間9万トンの生産能力を持つことにる。湖南省長沙サイトには、240人以上の科学者や専門家を擁し、製品の研究開発、分析、試験に重点を置いた先進的な研究開発センターがすでに建設されている。
[各社コメント]
■BASF取締役のDr. マーカス=カミート氏
今回の中国での投資により、BASFは世界最大の電池市場に貢献するための、理想的なポジションを得ることができました。中国での確固たる地位を利用し、電池材料分野での当社のグローバルな成長をさらに加速させていきます。
■杉杉会長の鄭永剛氏
BASFと協力して、新たな合弁会社をさらに強化していくことを楽しみにしています。BASFと杉杉は、この合弁会社のEV市場における地位をさらに高め、中国および世界中のお客様に最高レベルの製品を提供していきます。
■杉杉股份(中国語):http://www.ssgf.net/