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2021年7月26日【エネルギー】

BASF、ポルシェとEV用高性能リチウムイオン電池開発で提携

NEXT MOBILITY編集部

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BASFは7月26日、ポルシェAGとカスタムセルズ社(Customcells)の合弁会社「セルフォース・グループ(Cellforce Group)」(以上全て、本社:ドイツ)と、次世代リチウムイオン電池のセル開発で提携したと発表した。

BASFは、セルフォース・グループが製造する次世代リチウムイオン電池に「高容量HED NCM(ニッケル・コバルト・マンガン三元系)正極材」を提供し、急速充電と高エネルギー密度を実現する高性能電池セルに貢献。2024年に稼働予定の電池生産工場は、当初年間100MWh以上の生産能力を備え、1,000台のモータースポーツ車両と高性能車に電源を供給していくと云う。

 

 

 

 

BASFはまた、サプライチェーンにおける最小のカーボンフットプリントを2022年に実現することを目指し、保有するフィンランドのハルヤヴァルタにある前駆体生産工場と、ドイツのシュヴァルツハイデにある正極材生産工場から、安定的に信頼性の高い原材料を調達し、持続可能性に優れた電池材料を提供することで、セルフォース・グループ電池工場で排出される廃棄物を、シュヴァルツハイデの電池リサイクルの試作工場で再生。リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを、湿式製錬プロセスでリサイクルし、正極材の製造プロセスで再利用していくとしている。

 

 

 

 

[各会社のコメント]

 

BASF

取締役会メンバー Dr.マーカス=カミ―ト氏

 

「ポルシェおよびCellforce Groupと連携し、将来に向けた電気自動車用高性能電池を開発して、持続可能なモビリティという共通の目標に向けて協力することを楽しみにしています。BASFの正極材は、当社の強力な研究開発力を活用し、ポルシェ独自のニーズに合わせて製造されます。さらに、効率的な製造プロセス、再生可能エネルギーの比率の高さ、主要原料確保における垂直統合、バリューチェーンにおける効率的な輸送ルートにより、業界トップクラスの二酸化炭素排出量低減を実現します。電池をリサイクルすることで、貴重な材料を生産ループに残すことが可能になり、正極材のカーボンフットプリントを最大60%削減できると予想しています」。

 

BASFはシュヴァルツハイデの電池リサイクル工場で使用済み蓄電池のリサイクルも行う

 

ポルシェAG

研究開発担当取締役 ミヒャエル=シュタイナー(Michael Steiner)氏

 

「自動車メーカーであるポルシェは、2030年までにバランスシート上でのカーボンニュートラルを目指しています。そのため、カーボンフットプリントの削減、クローズドループリサイクル、そしてサステナビリティがますます重要な要素となります。BASFとの提携は、あらゆる関係者にメリットをもたらします。ニッケルとコバルトのヨーロッパでの調達先、それに伴う供給の安定性、ドイツのシュヴァルツハイデからバーデン=ヴュルテンベルク州までの効率的な輸送ルート、これらすべてがBASFとの提携を決定するうえで重要な要因となりました。今回の検討内容で中心となったのがバッテリーセル、特に正極材です。BASFと協力して、環境に優しいセル技術を連続生産可能な状態にできることを、大変うれしく思います」。

 

ポルシェ研究開発担当取締役 ミヒャエル=シュタイナー(Michael Steiner)氏

 

 

セルフォース・グループ

マネージングディレクター マーカス=グラーフ(Markus Gräf)氏

 

「正極材に関する深い専門知識を持つBASFは、セル開発の中心となる部分で私たちをサポートしてくれています。BASFの正極材は、最初から非常に高いサイクル安定性を示し、特に急速充電に優れています。これはまさにCellforce Groupが求めていた特性です。BASFは、正極材を次世代シリコン系負極の要件に適応させることにも、非常に力を入れています。また、生産の分野においても、BASFと共同で、各エリアで発生する廃棄物を回収し、クローズドループリサイクルを実現させるためのコンセプトを策定しました。これがコスト削減や、資源、環境の保全につながります」。

 

 

<参考>(YouTube)Cellforce Group GmbH: Joint Venture between Porsche and CUSTOMCELLS

 

■Customcells:https://www.customcells.org/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。