BASFは今年9月、中国の広東省湛江市(タンコウ市)のフェアブント(統合生産拠点)としては初の新工場を竣工した。同工場は、中国国内の顧客向けに年間6万トンのエンジニアリングプラスチックコンパウンドを供給。これにより2023年にBASFのアジア太平洋地域のエンジニアリングプラスチックの総生産能力は42万トンとなる予定だ。( 坂上 賢治 )
翻って今から遡る事2年前の2020年。BASFは、湛江のフェアブント予定地で最初の工場の建設を開始。2022年7月に急速に拡大し続ける中国市場の成長に歩調を合わせ、スチームクラッカーと下流製品向け工場を含む〝湛江フェアブント中心部の建設フェーズ〟に対して最終投資を決定した。
なお今回の新フェーズに関しては、2025年後半の稼働を目標としている。更にその後は、同国市場の更なる多様化のため2028年迄に拡大フェーズを更に伸張させていく予定としている。
結果、BASFの2018年7月時点の発表通りで、湛江フェアブントへは2030年迄に最大100億 ユーロを投じる。これはBASFにとって過去最大の投資となる。更に2023年には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)の生産工場の稼働も予定している。
この新工場の竣工により同社は、自動車やエレクトロニクス業界の顧客需要に対応する事が出来る事からBASF SEのマーティン・ブルーダミューラー取締役会会長は、「この度、湛江フェアブ ントは、同地域の未来に向けて輝かしいスタートを切る事が出来ました。
新工場の操業開始は、中国に於ける産業拡大の道を開くものです。完成すれば世界で3番目に大きなフェアブントとなり、中国のみならず、世界全体にとっても持続可能な生産体制構築の好例となるでしょう」と述べている。
なお同工場には100%再生可能エネルギーの電力が供給される予定。BASFは、2025年迄に湛江フェアブント全体の電力を100%再生可能エネルギーで賄う事を目指している。
新拠点建設の技術的背景についてBASFのアジア太平洋地域の責任者であるBASF SE取締役会のメンバーのマーカス・カミート氏は、「湛江フェアブントは、最新のデジタル技術と最高の安全基準を下敷きに建設されます。
同工場完成の暁には高品質で低炭素の製品を提供出来るようになり、中国南部の顧客と強力なビジネス関係を築き、中国市場に対する当社の真摯な取り組みを明確に示す事になります」と語った。