バンドー化学は3月29日、大型バギーや大型スクーター向け変速ベルトの新ラインアップとして、「セルロースナノファイバー(CNF)複合化ゴム」を用いた高性能〝ダブルコグベルト〟の販売を4月から開始する。
このコグベルトの複合化ゴムに使われたCNFとは、植物由来のセルロースを直径約20nm・長さ数μmに解すことで生成したバイオマスナノ繊維素材を指す。同素材は、軽量かつ高強度であるため、少資源国の日本のみならず、世界規模で森林資源を活かせる新素材として注目されている。
対して大型バギーや大型スクーター向けの伝動ベルトは、〝幅方向では高剛性さ〟が求められ〟一方で、〝長さ方向には柔軟性〟が求められる。
そんな相反する要求性能に対してCNFは、素材を束ねて極大化することにより高い伝動能力と耐久性を併せ持つものになる。またベルトの変形に伴うエネルギー損失も抑制できることから優れた省エネ性能も併せ持つ。但し、その相反する要求に応えるには、カーボンブラックや補強材料を、ゴムと複合化する時の配合設計が鍵となる。
そこで同社は、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を有するCNFの特性に着目した上で、化学品メーカーの東ソーと共にNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業に取り組み、ナノ分散技術を介したゴム補強材料との複合化に成功。その結果、伝動能力と耐久性に秀でた伝動ベルトの製品化に漕ぎ着けた。
バンドー化学では、今後も大型バギー、大型スクーターの高出力化を支える製品要望に応えると共に、長寿命化や駆動システムのコンパクト化によるCO2排出量の削減を通じて、持続可能な低炭素社会の実現にも貢献していきたいと話している。