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2024年6月6日【シェアリング】

自動車セキュリティ準規のAWSリファレンスが公開される

坂上 賢治

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住友グループ傘下のシステムインテグレーターSCSK、日立グループ傘下のシステムインテグレーター日立システムズ、ネット向けセキュリティ製品開発のトレンドマイクロ、サイバーセキュリティ対策を担うVicOneの4社は6月6日、「WP. 29 Cybersecurity対応AWSリファレンス( 参考文書 )」を無償公開した。

 

この「WP. 29 Cybersecurity対応AWSリファレンス」ついて、ざっくり示すとコネクテッドカーに係るサイバーセキュリティ対策を、AWS( Amazon Web Services )の環境上に実装する際に役立つ必要情報などを整理した参考文書を指す。

 

従って当該文書には、コネクテッドカーのサイバーセキュリティ実務に取り組む企業に於いて、自社構築の仕組みが〝WP.29 UN-R 155( 国連が定めたサイバーセキュリティ法規/CSMS )〟とUN-R 156( ソフトウェアアップデートおよびソフトウェアアップデートマネジメントシステム )に準拠しているかどうかを判断する際に活用できる。

 

同文書が作成されるに至った経緯は、昨今の自動車産業界で自動運転やOTA( Over the air:無線によるソフトウェアアップデート )技術の普及・進展に伴い、サイバー攻撃の脅威が拡大し続けていることがある。

 

その脅威の拡大を受け2021年1月22日、UNECE( 国際連合欧州経済委員会 )傘下組織のWP.29( 自動車基準調和世界フォーラム )に於いて、サイバーセキュリティ法規としてのUN-R 155( サイバーセキュリティおよびサイバーセキュリティマネジメントシステム )、およびUN-R 156( ソフトウェアアップデートおよびソフトウェアアップデートマネジメントシステム )が策定・発効された。

 

上記対象となるコネクテッドカーは、車両の内部システムと、クラウド上のシステムが密に連携して動作するため、WP.29 UN-R 155に定めた安全対策基準を常に満たすクラウドサービスが必要不可欠となる。ちなみに日本国内では、WP.29 UN-R 155及びUN-R 156は段階的に適用され、2022年7月からはOTAに対応した新型車への適用を開始。2024年7月からは継続生産車を対象とした義務化が開始される見込みだ。

 

但しコネクテッドカーの安全対策基準の項目は、迫り来る脅威に従って多岐に亘ることから、クラウドサービスを活用したシステムの準拠性を確認する作業は、当該企業にとっても大きな負荷だ。

 

そこで対応負荷を低減するべく、クラウド構築やサイバーセキュリティ分野に知見を持つAWSのパートナー企業が連携。WP.29 UN-R155に係るAWS情報に係る参考文書を整理・作成・無償公開した。この際、SCSK、日立システムズ、トレンドマイクロ、VicOneが、同取り組みに係る幹事企業として参加。AWSは、同活動の事務局として関与した。

 

当該リファレンスの概要は以下の通り

 

図1 「WP. 29 Cybersecurity 対応 AWS リファレンス」の構成

 

図2 「WP. 29 Cybersecurity 対応 AWS リファレンス」参照による効果

 

参考文書は下記URLからダウンロードできる
https://resources.trendmicro.com/jp-docdownload-form-m689-web-wp29-cybersecurity-enabled-aws-reference.html

 

なお今後は、上記の参考文書を利用する企業等からのフィードバックを継続収集。多くの意見や要望を取り入れて最新の規制要件を考慮しつつ改良・アップデートしていくという。併せて同活動に積極的に参加し、共有資産の高精度化を共に推進してくれる意志を持ち合わせたパートナーも募集する。

 

最後にアマゾン ウェブ サービス ジャパンの執行役員でパートナーアライアンス統括本部で統括本部長を務める渡邉宗行氏は、「〝WP. 29 Cybersecurity 対応 AWS リファレンス〟が発表されたことを歓迎します。

 

当社のお客様は、同リファレンスを参考にすることで、コネクティッド・自動運転など複雑なモビリティシステムを、より安全な環境で、円滑に構築することができるようになると考えています。同リファレンスを活用するお客様のクラウド活用が促進され、デジタルトランスフォーメーションが、より一層加速されることに期待しています」と結んでいる。

 

製品・サービスの問い合わせ先
VicOne株式会社
問い合わせWebフォーム
https://vicone.com/jp/contact-us

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。