アサヒロジスティクスは3月22日、新断熱材を採用した「高性能断熱パネル小型冷凍車」のモニター車を導入、同日より運行を開始したことを発表した。
実稼働によるコンテナ内の温度データ取得を行うため、モニター車は1年間運行するとしている。
昨今、排出ガスの規制を行うポスト新長期規制(平成22年)、それに続き導入されたポスト・ポスト新長期規制(平成28年)と、環境保護に対する規制が強化されている。この規制への対応として、対策装置が標準装備となり、シャーシの重量が増加傾向にある。
また、各種安全装置(自動ブレーキ等)の標準化も進んでおり、今後一層車両重量が増えていく事が予想される。このことから小型車への注目が集まっていたが、積載量の確保が課題となっているのが現状であった。
この課題に対して、アサヒロジスティクスは、東京日野自動車主導のもと、矢野特殊自動車の協力により、小型車規格のシャーシに中型車規格に近いコンテナを搭載する取り組みを開始。また、「積載容積の確保のために現行より薄い断熱パネルができないか」と新たに提案、矢野特殊自動車にて新断熱パネルを開発、今回のモニター車の導入にいたったという。
モニター車に採用されている高性能断熱パネルは、高性能断熱材と、矢野特殊自動車のパネル技術の融合により開発が実現した。(1)断熱性能が高いポリスチレンフォームの側壁パネル化に成功、(2)側壁断熱厚50mmにて冷凍(フローズン)温度帯の対応が可能、(3)側壁断熱厚30mmにて冷蔵(チルド)温度帯の対応が可能、という3つの特徴を持っている。なお、今回導入されるモニター車は、冷蔵(チルド)温帯のみを採用している。
現在、アサヒロジスティクスで導入している中型車両(4t)との比較では、中型車両の平均値で見ると、車両総重量7960kgに対し、最大積載量3050kgとなっている。一方、モニター車両は、シャーシを小型車規格にすることで車両重量を軽くし、さらに高性能断熱パネルを採用しコンテナ容積を確保したことにより、車両総重量7985kgに対し最大積載量3350kgと、標準中型車両よりさらに300kg多く積載量を確保することが可能となった。
アサヒロジスティクスによると、小型車格のシャーシに中型車格のコンテナを搭載することにより、車両価格を下げることが可能となり、総合的な物流コストの削減が期待できるという。また、積載量を確保することにより物流の効率化を進め、ドライバー不足への対応を図り、さらに、軽量化による準中型免許対応車(車両総重量7.5t未満)の検討を進め、必要とする免許の幅を広げ、若年層および女性ドライバーの獲得を目指すとしている。
【モニター車両概要】
– 車種:日野デュトロ
– 規格:4t車(車両総重量8t未満) 冷蔵車(1層式) 定員3名
– 装備:マニュアルギア、格納ゲート、セーフティレコーダー、ナビゲーションシステム、バックアイカメラ、その他(メーカーによる車両標準装備機能各種)
– 納車先:アサヒロジスティクス株式会社愛川物流センター(神奈川県愛甲郡愛川町中津6721)