旭化成株式会は先の5月、EVメーカーであるGLM株式会社との共同開発により、「自動車の安全・快適・環境への貢献」をテーマとし、旭化成グループの自動車関連部材を搭載したコンセプトカー「AKXY(アクシー)」を完成させた。( 坂上 賢治 )
旭化成は、来る2022年に創業100年を迎える総合素材メーカーであり、昨今では欧州市場における同社の幅広い技術的プレゼンスの向上。
そして新事業開発の加速および事業の拡大を図るため、欧州R&Dセンターを、ドイツ連邦共和国ドルマーゲン市に10月1日に開設するなど積極的な事業拡大の姿勢を見せている。
そんな同社が開発したコンセプトカー「AKXY」は、2016年からGLMと協議・制作を進めてきたもの。GLMのEVプラットフォームを活用することにより、実走行が可能な設計としており、随所に旭化成独自の技術ノウハウが投入されている。
また世界的に人気が高いSUVベースのデザインとし、同社の主な顧客であるTier1企業やOEMへの訴求力を高めたコンセプトカーとした。コンセプトカーの名称「AKXY」は、Asahi Kasei × かける You(お客様)=「AKXY」より命名した。
同社では、「多くの国内外の自動車メーカー様や、部品メーカー様に当社の自動車関連素材・部品・システムを総合的に表現したコンセプトカーに直接触れていただくことで、旭化成とお客様が共に未来の価値を創造する関係をいっそう強く構築していきたいという思いを込めています。
『AKXY』には、金属材料の代替として自動車の軽量化を実現するエンジニアリング樹脂や、快適性に優れるカ―シート用人工皮革、各種音声処理技術を利用した車内コミュニケーションシステムなど、当社の多岐にわたる部材やシステムを27品目搭載しており、その多くは量産車への導入が可能なものです。
写真は、旭化成オートモーティブ事業推進室 室長 兼務 経営企画部事業戦略室 宇高道尊氏
また、ドライバーの脈波を無意識下で検出することができる非接触バイタルセンシングシステムや、車内の空気環境をセンシングするCO2センサーなど、安全運転や事故防止といった自動車業界のトレンドにおいて、今後実用化の可能性をもつ最先端技術も搭載しています」と語っている。
なお車両は先の5/24~5/26に開催された「人とくるまのテクノロジー展2017」(横浜)での初披露を筆頭に、近々では来る2018年1月17日より東京ビックサイトで開催される第10回オートモーティブワールドでも披露される予定だ。
この際には「AKXY」には搭載していない部材や、内部構造材や部品を説明する模型も併せて展示する予定であるとしている。
また同社は、「この『AKXY』を契機に、お客様に旭化成グループの幅広い提供製品の拡がりに着目頂くなど、大きな可能性が見えてきています。 当社は、自動車関連製品に於いて、2025年の約3000億円の売上高を目指して、今後も自動車関連のお客様と連携を深め、自動車の安全性、快適性の向上、環境への貢献に応じた多様なキーアイテムを総合的に提案してまいります」と結んでいる。