セキュリティ系組込みソフトウエア事業を担うグリーン・ヒルズ・ソフトウェアのエコシステムに、自動車用サイバーセキュリティを手掛けるアルガス・サイバーセキュリティ(Elektrobit傘下で2013年にイスラエルで創業)が加盟したと8月13日に発表された。(坂上 賢治)
今提携はArgus Control Flow Integrity製品を、グリーン・ヒルズ・ソフトウェアのC/C++コンパイラに統合することで、自動車業界向け製品の共同開発がよりスムーズになる。この共同ソリューションは、2021年からの欧州系OEM車に於いて、安全性が重要視されるECUのセキュリティを高く保たれる事について期待されているという。
昨今、自動車業界ではソフトウェアやコネクティビティ領域への依存度が高まり、同領域でサイバー攻撃を受けるリスクが増えてきている。これに対してグリーン・ヒルズC/C++コンパイラが従来から備えている安全性に加え、新たに統合されるArgus Control Flow IntegrityによってルネサスRH850プロセッサファミリーを使用したAUTOSAR classicのデバイスに対応。誤検知することなくバッファオーバーフローなどのサイバー攻撃からECUが効率的に防御できるようになる。
この連携強化について、アルガス・サイバーセキュリティで製品担当バイスプレジデントを務めるNir Rozen氏は「Argus Control Flow IntegrityをGreen Hills Compilerに最適化することで、サイバーセキュリティ強化の際の複雑さと工数の削減を可能にしました」と語っている。
一方グリーン・ヒルズ・ソフトウェアでEMEA事業開発ディレクターを務めるChris Tubbs氏は「クラス最高技術を誇る当社のエコシステムにアルガス・サイバーセキュリティが加わることを嬉しく思います」と応えている。
ちなみにArgus Control Flow Integrityは、アルガスが提供している多層防御構成のArgus Connected ECU ProtectionおよびArgus Core ECU Protection製品の中の一つのレイヤーであり、ISO 26262 ASIL Bに準拠したArgus Control Flow Integrityは、ブレーキやADASなどの安全が非常に重要視されるECUをサイバー攻撃から防御する。
これを踏まえ両社では「Argus Control Flow Integrityは、AUTOSAR Classicだけでなく、高水準のオペレーティングシステムを使用したECUやベアメタルのECUでも動作します。結果、Green Hills Compiler[AN1] は35年以上に亘って最速、最小、高信頼のコード生成によって、組込み業界をリードしてきました。
ISO 26262 ASIL Dの認証を取得したGreen Hills Compilersは、安全システムやベアメタル、AUTOSAR Classic、OSEK、または上位レベルのOSを実行するECUに多く使用されており、Green Hills Compilerは、C、C++11、C++14、C++17、Embedded C++、GNU C/C++拡張を幅広いプロセッサでサポートしています」と結んでいる。