amsは11月19日、路上車両のアシスト運転システムの安全性を高める、車載向け静電容量センサを発表した。新型のAS8579は従来トルクセンサが使用されていたステアリングロッドと比較して、より確実に、低コストでステアリングホイール(ハンドル)でのハンズオン検出が可能になる。
静電容量センサAS8579により、自動車メーカーは国連規制第79号に準拠しやすくなる。同規制は既にEUでは適用されており、2021年4月1日以降、ヨーロッパで販売される車線維持支援システム(LKAS)を搭載した全ての量産車両はハンドルにハンズオン検出を組み込まなければならない。
AS8579は新しい静電容量技術を実装しており、センサエレメントで測定されたインピーダンスの抵抗性分と容量性分(量/シェア/比率)を分離する。この技術は、現在自動車に使用されている静電容量センシングの充電-放電方式に比べて、手袋装用時や多湿環境におけるドライバーの手の検出精度を向上させる。これはAS8579によって、自動車メーカーが高度運転支援システム(ADAS)の安全性を高めつつ、システムのハンズオン検出コストを削減しやすくなることを意味する。AS8579はハンドルのヒーターエレメントでインピーダンスを感知するが、競合するハンズオン検出のための静電容量システムでは、ハンドルに専用の金属センサエレメントを組み込まなければならない。
amsの位置センサ事業でマネージャーを務めるアレクサンダー・レンシンク(Alexander Rensink)は、「ADAS技術において、ドライバーは油断せず路上に集中し続けることが必要とされます。失敗がなく、どんな運転条件でも機能する初のハンズオン検出システムの発表により、amsは次世代のADAS搭載車両の安全性を飛躍的に高めました」と述べている。
amsの改良された静電容量センシングがADASの安全性にまつわる疑問を解消
自動車メーカーが機能をますます高度化させ実装している適応型クルーズコントロール、渋滞時の停止/発進システム、LKASなどのオートパイロット機能は、車両システムが安全上の脅威を検出し損ねた場合、ドライバーが直ちに車両の制御が可能な状態でなければならない。そこでハンズオン検出は、ドライバーの状況を監視する上で重要な役割を果たし、乗用車および商用車にADASを実装する上で課題となる大きな点をひとつ解消する。
これまではトルクセンサが用いられていた。しかし、この方式のハンズオン検出はドライバーがハンドルを握った際に生じる連続した微細なぶれを検出するため、誤動作が起きやすくドライバー自身およびその他の道路利用者に危険を与える可能性があった。
現在、ハンズオン検出において静電容量センシングを使用することが自動車業界のトレンドとなっている。人間による接触をより確実にとらえると同時に、他の方法よりも簡単に低コストで設計、組み込みができる点が評価されている。静電容量センシングの充電-放電手法は、タッチスクリーンやタッチセンシングボタンなどの製品で長年にわたって使用されている、よく知られた技術であるが、ドライバーが手袋をすると検出できなくなり、湿気や湿度により検出信号が誤って生成されるため、この方法による静電容量センシングのハンズオン検出の安全性能は損なわれてしまう。
自動車メーカーは、I/Q復調に基づく確実な静電容量センシングを実装したamsのAS8579静電容量センサによって、オートパイロットや運転支援機能の安全性を最高水準まで高めることができる。
AS8579の安全認証には複数のオンチップ診断機能の提供も含まれており、ASIL Grade BまでのISO 26262機能安全規格のサポートを保証する。同センサはAEC-Q100 Grade 1に準拠。4種類のドライバー出力周波数 - 45.45kHz、71.43kHz、100kHz、125kHz - から1つを選択して実行できるAS8579は電磁干渉に対する高い耐性を示している。SSOP24パッケージで提供され、5Vの電源電圧で動作する。