その構造は、車両に固定された円盤とハブベアリングと一緒に回転する円盤が交互に配置されている間にMR流体が充填される構造で、ブレーキ内部に配置された電磁石コイルに電流を流し、円盤と垂直の方向に磁場を発生させることで固定円盤と回転円盤の間に鎖状粒子クラスターができる仕組み。
電気による磁場を加えると、液体中に分散された粒径数ミクロンの強磁性体粒子(鉄粉)が磁場方向に整列して鎖状粒子クラスターを形成し半固体化する。回転円盤は回転し続けているため、鎖状粒子クラスターがせん断変形を受け崩壊され、隣のクラスターとつながり、また崩壊されるという現象がくり返され、回転円盤に抵抗力が発生。この抵抗力がブレーキ力となるのである。
流体ブレーキに関しては、このように元々、制動時に発生する摩擦が発生しない構造であり、既存のブレーキ構造とは全く異なるコンセプトで組み立てられたものだ。
このためむしろ電動車との組み合わせという面で、流体ブレーキの実用化が想定通りの数年以内に成功するとすれば、こちらが電動車時代の次世代ブレーキの真打ちとして脚光を浴びるだろう。
いずれにしても曙ブレーキでは、今発表の新機能を兼ね備えた美しいデザインを追究した新構造ブレーキキャリパーで、新しい価値を提供していくとしている( MOTOR CARSより転載 )。