愛知製鋼は、HV・EVなどの次世代車を含め高い需要が見込まれる特殊鋼鋼材向けの新熱処理炉を知多工場内に設置し、9月11日に竣工式を行った。
この熱処理炉により熱処理される鋼材は、次世代車でもギヤなどに加工して使用される、顧客ごとに熱処理条件が複雑かつ多様化している鋼種で、生産能力の確保に加え、品質の安定・生産性向上・確実な納期対応が課題となっていたと云う。
新熱処理炉では、これらの課題を解決して顧客ニーズに応えると共に、工場内に離れて配置されていた設備を集約・統廃合。老朽化更新を含め、更なる安全・生産性向上を実現するライン構成とした。
具体的には、熱処理炉本体の安全性、CO2排出低減、搬送装置自動化による作業効率アップを図ると共に、生産能力を従来比で50%向上。将来に渡る鋼材の安定供給を実現する。
愛知製鋼は、将来を見据えた特殊鋼鋼材の生産性・品質向上によるモノづくりの抜本的な基盤強化を目的に、今後も鋼材生産プロセス改革を計画的に推進。品質・コスト競争力に優れた製品をタイムリーに提供し、顧客ニーズに貢献していくとしている。
[新熱処理炉の概要]
– 設備名称:連続焼なまし炉(66号炉)
– 設置場所:愛知製鋼知多工場内
– 投資概要:
・投資額:約20億円
・着工:2018年6月
・稼動開始:2019年9月
・生産品目:特殊鋼鋼材
– 仕様:
・熱処理種類:焼なまし、焼ならし
・炉形式:ローラハース式
・使用燃料:LNG
・対象寸法:φ10~250mm
・長さ:3~8m
・生産能力:3000トン/月
– 期待される効果:
・生産能力向上(約50%向上/顧客ニーズが高い品種の需要に対応)
・設備の集約・統廃合および自動化による品質・生産性向上
・熱処理材の工程リードタイム短縮(納期に迅速に対応)
・安定操業および安全性向上(作業者の安全性向上、負荷軽減)