愛知製鋼と澤藤電機は、愛知製鋼のDy(ジスプロシウム)フリーボンド磁石「マグファイン(※1)」と澤藤電機の巻線技術を融合し、産業用ドローンに適した従来比3割軽量のモータを共同開発した。
開発品は、澤藤電機からドローンメーカー向けに供給を開始し、量産化を図る。
ドローンは、物流・農業分野などで深刻化する労働力不足への対策として期待されている一方、積載量アップや飛行時間の長時間化などを実現するための軽量化が課題となっている。
愛知製鋼と澤藤電機は、この課題解決を目指して、産業用ドローンモータを共同開発。今回の開発品の優れた点について、下記の特徴を挙げている。
① 磁石アッセンブリー(※2)技術によるモータ出力アップと軽量化設計
大口径かつ多極の磁石を、それを覆うマグネシウム製ハウジングへ一体射出成形(※3)する新たな磁石アッセンブリー技術を開発。
さらに、マグファインの利点である高磁力、自由配置や、高い寸法精度の確保などの組み合わせにより、従来比3割の軽量化に成功し、飛行時間の延長に寄与。
② 低振動化
磁石成形時の磁場の向きを最適化することで振動の原因となる回転時トルクの脈動を約2割低減し、ドローン自身による安定した姿勢制御を実現。
③アルミニウム電線による巻線
発電機などで高い実績のある巻線技術を活かし、アルミニウム電線のコイル巻線を実現(通常は銅線によるコイル巻線が一般的)。安定した絶縁性能で長寿命な軽量モータを実現。
愛知製鋼と澤藤電機は、今後も、複雑形状が要求されるモータへ用途拡大を図るため、原料となる磁粉の高性能化や、一体射出成形および巻線技術の更なる開発を推進し、ドローン用途のみならず、様々な用途への拡大を図っていくとしている。
※1)マグファイン:重希土類である Dy(ジスプロシウム)不使用の Nd(ネオジム)系異方性磁石粉末に種々のプラスチックを混ぜて成形した磁石。各種電動工具や自動車用シートモータなどに採用。
※2)磁石アッセンブリー:磁石とハウジングの構成部品。
※3 一体射出成形:2015年に確立した、樹脂を加熱し金型に充填して成形する革新的工法(以下、一体射出成形技術による工程省略を参照)。
<一体射出成形技術による工程省略(愛知製鋼)>