ジェイテクトは、「モータライン1相故障時の駆動制御」で、令和2年度愛知発明表彰の「愛知発明賞」を受賞した。
近年、ほとんどの自動車には、電動モータで運転者の動作を補助する、電動パワーステアリング装置(EPS/タイトル画像)が搭載されている。
EPSのモータには通常、三相ブラシレスDCモータ(以下、三相モータ)が使われるが、三相モータの一相がオープン故障(※)した場合、ハンドルを重く感じる位置と軽く感じる位置が発生(ハンドルの引っ掛かりなどと呼ばれる)。運転者の操舵感に影響を与える。
これを避けるため、従来は、三相モータの一相がオープン故障すると、直ちに三相モータでの補助を停止していたが、その場合、常に均一の力でハンドルを回転操作することができる一方で、常に大きな力でハンドルを回転操作する必要があった。
そこでジェイテクトは、一相がオープン故障した際でも、ハンドルの引っ掛かりなく、運転者への三相モータによる補助を出来る限り継続する技術を開発。この発明が、今回「愛知発明賞」を受賞した。
※オープン故障:回路が断線するなどして正常に動作しなくなった状態。
[発明の概要]
三相モータの一相がオープン故障した際、回転トルクを加えられる位置で、正常時より大きなトルク補助を行い、回転トルクが加えられない位置へのより大きな角速度での突入を可能に。角速度がゼロになることを防いで、これを乗り越える。
また、もし補助不足のため、前述位置で角速度がゼロになってしまった場合、一旦逆方向への回転トルクを加えて回転トルクが加えられる位置に戻し、再び補助することにより加速、前述の位置を乗り越える。
これらの仕組みを導入した車両では、三相モータの一相がオープン故障した際でも、ハンドルが若干振動するもの、引っ掛かりのない操舵が可能に。また、三相モータでの補助を停止した場合と比較しても、十分な力で補助できるため、ドライバーの負担は小さくなると云う。
なお、この発明は既に、ジェイテクトのEPSソフトウェアに組み込まれているとのことだ。
■一財 愛知県発明協会:http://aichihatsumei.oos.jp/commendation/