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2024年4月4日【ケミカル】

レゾナックのLIB用バインダー、トヨタ製HV車に採用

坂上 賢治

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レゾナックが、去る2013年2月から龍野事業所(兵庫県たつの市)で量産を開始したリチウムイオン電池用バインダー「ポリゾール LBシリーズ」が、プライムアースEVエナジーのリチウムイオン電池の部材として初めて採用された。

 

ポリゾール LBシリーズが採用された同電池は、トヨタ自動車が今後販売する一部のハイブリッド自動車に搭載される。

ポリゾール LBシリーズ

 

そもそも近年、世界的なカーボンニュートラルの流れを受けて、ハイブリッド車や電気自動車などの電動車の普及が加速している。そしてこの電動車の普及に伴い、そうした車両に搭載すべきリチウムイオン電池には、より大電流で充放電できること、つまり、高い入出力特性が求められるようになってきた。

 

そうしたなかで今回、プライムアースEVエナジーに採用されたポリゾール LBは、高い電流要求に対してポリゾール LBは、レゾナックが保有する水系エマルジョン( 合成樹脂の粒子が水中に均一に分散している液体 )製品群のうち、リチウムイオン電池の入出力特性を最も高めるもので、大電流での充放電などに寄与する。

 

より具体的にポリゾール LBは、高温(60℃)保存後の充放電時の容量維持および、低温下(-20℃)での放電容量でSBRなどと比較して10%程度の改善が見られるなど、温度特性に優れている。また分散性が高く、少量の添加で高い結着性を持つことや負極の集電板である銅との密着性を1.5倍向上させることから、LIBの内部抵抗の低減を可能にする。

 

加えてリチウムイオンが出入りする正極・負極活物質(電気をためる物質)や、その他の補助添加剤、集電板を結着させる接着剤の役割を持つものでもあり、今回もリチウムイオン電池の負極に使用された場合、活物質間や活物質と集電箔間を接続することで負極の構造を維持できる特性がある。

 

負極の模式図

 

また他社のバインダー材料と比べて優れた低抵抗性能、温度特性、負極集電箔との高密着性などの特長を持ち、リチウムイオン電池の高入出力特性化、長寿命化、高容量化に貢献する。

 

つまり電気抵抗が低減するだけではなく、大きな電流を通せるようになるため、大電流での充放電が可能となるのだ。従って今回のポリゾール LBの採用決定は、レゾナックが〝これまでに培ってきたポリマー設計〟電池評価技術を活かした〝バインダーの組成・粒子構造の最適化技術〟などが正しく評価されて採用に至ったと謳っている。

 

なおレゾナックは、バインダーに加え、負極材、正負極用導電助剤「VGCF-H」、アルミラミネートフィルム「SPALF」など、リチウムイオン電池に関する様々な製品を保有しており、これらを組み合わせたソリューションの提案が可能という。

 

従って自社は今後も、リチウムイオン電池用の製品を筆頭に、環境に配慮した製品を提供し、カーボンニュートラルへの貢献を含めた持続可能な社会の発展に貢献していくと話している。

 

Resonac(レゾナック)グループについて

レゾナックグループは、半導体・電子材料、モビリティ、イノベーション材料、ケミカル等を展開し、川中から川下まで幅広い素材・先端材料テクノロジーを持つ化学会社。

 

2023年1月に昭和電工グループと昭和電工マテリアルズグループ(旧日立化成グループ)が統合し、新たなスタートを切った。新社名の「Resonac」は、英語の「RESONATE:共鳴する・響き渡る」と、Chemistryの「C」を組み合せて生まれた。

 

レゾナックは「共創型化学会社」として、共創を通じて持続的な成長と企業価値の向上を目指している。2023年度の売上高は約1兆3千億円、うち海外売上高が53%を占め、世界22の国や地域にある製造・販売拠点でグローバルに事業を展開している(2024年2月時点)。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。