AGCは、ガラス輸送に使用されるガラスパレットの位置管理システム「パレットIoTシステム」を独自開発して導入、 その第一弾として、3月2日から大量輸送ができる大型パレット約1,400台を対象に、日本国内での本格運用を開始した。
これにより、各パレットの位置情報や稼働状況を把握し、輸送や在庫管理を効率化、またパレットの紛失を防止する。
ガラスパレットは、ガラスを輸送する際に使用する荷台。鉄製のリターナブルタイプが使われるが、国内で流通しているガラスパレットのうち、毎年約1割が回収不能に(*1)。このため、パレットの追加製作コストが掛かるほか、その所在地を把握できず滞留・散在が発生する一方で、必要な状況・場所で不足するなど、物流業務の非効率化に繋がっていると云う。
AGCは、これらの課題を解決するため、「パレットIoTシステム」を独自開発し、昨年試験導入し、その効果を確認。3月2日から日本国内での本格運用を開始した。
パレットIoTシステムは、アルプスアルパイン社製の物流資材管理用IoTモジュール「物流トラッカー」から送信される情報を地図上に一覧表示し、各パレットの位置情報、移動履歴、滞留情報などを可視化するもの。
物流担当者は、パレットの位置や動きをリアルタイムに把握して、輸送業務を効率化すると共にパレットの滞留・紛失を防止する。
<パレットIoTシステム導入の目的>
・パレットの紛失を半減し、コストを削減する。
・パレットの位置、在庫、滞留情報を輸送ルートや積載などの輸送計画に反映させることで、輸送効率を向上させる。
・輸送効率化により、輸送時のCO2排出量を1~5%削減する。
今後AGCは、パレットIoTシステムの対象となる製品を拡充するほか、欧州やアジア地域への導入を進め、2022年までに対象パレットを30,000台に増やすことを検討している。
*1:板硝子協会の発表に基づく<http://www.itakyo.or.jp/upload/ecoglass-s_200127.pdf>。
[物流トラッカーについて]
アルプスアルパインの物流資材管理用IoTモジュール「物流トラッカー(*2)」は、通信技術にLPWA(*3)のうち低価格・省電力駆動・長距離伝送を実現したSigfox(*4)を採用。
無充電で10年間の稼働が可能で、パレットが特定の動きをした際や一定の時間が経過するごとに計測を実施し、その位置情報や稼働状況を位置管理情報システムに送る。
*2:欧州においてはDHL社向けに昨年時点で25万台の運用実績がある。
*3)LPWA(Low Power Wide Area):低消費電力広域通信。少量の消費電力で広域の通信が可能なため、電源確保が困難な場所や電池交換を極力少なくする必要があるIoTへの活用に適している。
*4:Sigfox社が提供する通信サービス。IoTに特化した“0G通信”として70カ国以上に展開しており、日本国内では、京セラコミュニケーションシステムが電気通信業者として展開している。