AGCは、グループ会社であるAGCエレクトロニクスにおいて、EUV露光用フォトマスクブランクス(以下、EUVマスクブランクス)の供給体制を大幅に増強することを決定した。
今年10月から建屋拡張を含めた増強工事に着工し、2022年から生産を開始する予定。
IoTや人工知能(AI)、次世代高速通信(5G)などの本格普及を迎え、半導体チップは計算処理の高速化やデータの大容量化、高集積化を求められている。この対応のため、半導体チップ回路パターンの微細化が必要となるが、従来の光リソグラフィ技術(*1)では限界があり、それに代わる最先端の微細化技術としてEUV(*2)露光技術が注目されていると云う。
AGCは、2003年にEUV露光技術を用いた半導体生産プロセスで用いられる消耗部材であるフォトマスクブランクスの研究開発に着手し、保有するガラス材料技術、ガラス加工技術、コーティング技術などを融合して技術開発を進め、2017年にEUVマスクブランクスの生産を開始。これまでも市場のニーズに応じて投資を実施してきたが、今後の更なる市場の伸長に対応するため、今回供給体制の増強を決定した。
EUVマスクブランクスは、低膨張ガラス基板の表面に複数の組成から成る膜を積層したもので、この表面に半導体チップの回路原版を形成(EUVフォトマスク)し、それをシリコンウェハ上に転写して半導体チップを形成する。なお回路の微細化に伴い、EUVマスクブランクスに対しては、①非常に小さなサイズの欠陥を限りなくゼロに近づけることや、②非常に高い平坦度であることといった要求水準が、更に高くなっていると云う。
AGCは「ガラス材料」から「コーティング」までを一貫して手掛けることができる、世界唯一のEUVマスクブランクスメーカーとして、今後も、市場成長に合わせた量産体制を構築し、2025年には売上高400億円以上、シェア50%を目指すとしている。
*1)光リソグラフィ技術:KrF(フッ化クリプトン)やArF(フッ化アルゴン)光源を用いて、LSI回路パターンをシリコンウェハ等に転写するプロセス。“7nm世代”と呼ばれる微細なパターン形成は理論上難しいとされている。
*2)EUV:波長13.5nm(1nm=10億分の1m)の極端紫外線。
[AGCエレクトロニクス社について]
– 社名:AGCエレクトロニクス株式会社
– 資本金:300百万円
– 代表:佐藤 弘昌
– 本社所在地:福島県郡山市
– 従業員数:約700名(2019年12月末現在)
– 主な事業内容:
ガラスフリット・ペースト、光ピックアップ等のオプトエレクトロニクス製品、及び半導体製造装置用合成石英製品、EUV露光用フォトマスクブランクス。
[問い合わせ先]
AGC株式会社 広報・IR部長 玉城 和美(担当:中西)
電話: 03-3218-5603
メール:info-pr@agc.com