ABBは欧州中央時の11月15日、ABB FIAフォーミュラE世界選手権の公式充電サプライヤとしてシーズン9で使用する充電技術を発表した。( 坂上 賢治 )
その充電器は、モータースポーツ統括団体FIAとフォーミュラEのエンジニア達と協力。レース前やセッション間に新しいGen3(第3世代)マシンを充電するためのコンパクトで信頼性と安全性の設計思想で仕立て上げた。それゆえ堅牢で、世界各地への輸送や設置が容易なものとなっている。
その設計は、市販車の充電アプリケーションで既に実証されている技術をモータースポーツの過酷な環境に適応させたもの。従って世界中のどこで充電器が使用されても、様々な電源環境から一貫した性能を提供出来るという。
充電器自体はハードウエア的に最大160kWの電力を供給でき、レース前に80kWでマシン2台を同時充電出来る。これによりレースチームは1基で「ダブル充電」が可能になり、1車両毎に1基毎の充電器を用意しなくても良くなるため充電器の設置面積を大幅に削減、輸送時のCO2排出量も削減出来る。
ABB E-モビリティのフランク・ミューロンCEOは「eモビリティに於ける最大かつ最良の挑戦の国際舞台であるABB FIAフォーミュラE世界選手権に、当社の革新的な充電ソリューションを提供できる事を心から嬉しく思います。
また我々はこのレースシリーズを、より持続可能な新技術のテストベッドとして活用する取り組みを来期も継続して参ります。
実際、Gen3マシンを充電する事は、ハイペースで競争が激しい環境下で充電技術に係る貴重な知見を得る事が出来ます。ここで得た経験と知識は消費者りの皆様の使用に適したABB充電器の改善に大きく役立っていく事でしょう」と語った。
これを受けてフォーミュラEのジェイミー・ライグルCEOは「技術的進歩と持続可能なイノベーションは、ABB FIAフォーミュラE世界選手権の礎です。
ABBとのパートナーシップは、e-モビリティの促進という共通のコミットメントに基づいており、ABBがGen3のレースチームに高度な充電システムを提供出来る事を嬉しく思います。
ABBモバイルの充電器は業界標準を再定義し、来期のチャンピオンシップを実現するための重要なインフラとして機能し続けるでしょう。
厳しい競技規格のもとでABBの高い技術とサステナビリティ性が妥協なく共存で出来ている事を、レースを通して実証していける事を楽しみにしています」と結んだ。