トヨタ自動車とMS&ADインシュアランスグループのあいおいニッセイ同和損害保険(以下、あいおいニッセイ同和損保)は、コネクティッドカー(※1)から取得できる走行データを活用し、事故時の運転軌跡や運転挙動といった運転状況を可視化すると共に、AIを活用した事故検知を実現する新しい事故対応サービス「テレマティクス(※2)損害サービスシステム」を共同で開発した。
サービス提供を、トヨタとレクサスのコネクティッドカーを対象(※3)に、来年3月から開始、対象車種を順次拡大する。
※1)コネクティッドカー:走行データが取得できる車載通信機(DCM:Data Communication Module)を搭載した車両。
※2)テレマティクス:「テレコミュニケーション」と「インフォマティクス」を組み合わせた造語。カーナビゲーションやGPS等と移動体通信システムを利用して、さまざまな情報やサービスをご提供する仕組み。
※3:トヨタ車は2018年6月以降に販売を開始したコネクティッドカー、レクサス車は2015年9月以降に販売を開始した全車が対象。対象車種の詳細は、あいおいニッセイ同和損保の代理店または、トヨタ販売店に問い合わせのこと。
背景
昨今のクルマのコネクティッド技術等の進化により、コネクティッドカーを通じて車両データを収集・活用し、新たなモビリティサービスの提供が可能となった。
両社は、コネクティッドカーから取得できる走行データをもとに、「安全運転を支援する機能」や「安全運転による保険料割引」などのサービスを提供する国内初の運転挙動反映型テレマティクス自動車保険「タフ・つながるクルマの保険(※4)」を、2017年に共同で開発、昨年1月に販売を開始した。
「タフ・つながるクルマの保険」の加入者は、今年11月末時点で2万5000件超。同社自動車保険「タフ・クルマの保険」加入者と比較して、事故頻度が約3割抑えられ、事故低減効果が確認されたと云う。
今回両社は、上記の事故低減の取り組みに加え、事故の際に迅速かつ適切に事故解決をサポートするため、「テレマティクス損害サービスシステム」を共同で開発した。
※4)タフ・つながるクルマの保険:トヨタ販売店向けは「トヨタつながるクルマの保険プラン」、レクサス店向けは「G-Link連動自動車保険」の商品名で展開。昨年6月以降に販売を開始したトヨタのコネクティッドカーと2015年9月以降に販売を開始したレクサス全車を対象としている。
概要
従来の事故対応は、電話や書類のやりとりなどを通して得た情報を元に、事故相手との過失・示談交渉を進めている。
一方、「テレマティクス損害サービスシステム」では、トヨタのコネクティッドカーから得られる走行データを活用することで、保険会社が正確かつ客観的な事故状況の把握を可能とし、保険金請求手続きの負担を大幅に軽減。
また、あいおいニッセイ同和損保の24時間365日事故対応サービス「I’m ZIDAN(※5)」に加え、トヨタのコネクティッドカーとあいおいニッセイ同和損保が24時間365日つながることで、迅速な事故対応を実現すると云う。
なお、このサービスは、「タフ・つながるクルマの保険」の加入者向け新サービスとして提供される。
※5)I’m ZIDAN:夜間休日でも「責任割合交渉」や「示談交渉」などの専門的な事故対応が可能となるサービス。
サービス提供のイメージ
■サービス内容
① 運行軌跡のマッピング・運転挙動の可視化
コネクティッドカーから取得する情報をもとに事故に至るまでの走行軌跡、アクセル・ブレーキ、シフトポジション、ステアリングの操作状況、指示器、安全装置といった各種装備の作動状況に関する車両データを可視化。事故状況を説明する負担の軽減および迅速な事故解決を実現する。
コネクティッドカーの情報を活用した事故対応事例
② AIを活用した事故検知
事故による大きな衝撃を検知した際、「自動通報受信デスク」から契約者に安否確認のため連絡、必要な諸手配を行う「緊急時リアルタイムサポート」にAIを活用する。
この機能は、あいおいニッセイ同和損保がテレマティクス端末搭載車両の事故データと、衝突実験により取得した衝撃データを機械学習することにより構築したアルゴリズムを活用。これにより事故の発生・事故地点を適切に認知し、迅速な事故受付を実現する。
AIを活用した事故検知