TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は12月3日、トラック・バス用タイヤの使用環境や使用状態を把握、管理するデジタル・アプリケーション「Tire SAPRI(タイヤサプリ)」を開発し、そのテストマーケティングを開始したことを発表した。
同社は、独自のデジタル・データ処理技術に基づいてタイヤ摩耗状態の予測表示や空気圧・温度のモニタリングによる異常などを通知する、このソリューションを通じて、物流事業者の車両運行上の効率的な管理や運行トラブルの未然防止など、新たな価値創造を図っていきたいとしている。
物流業界を取り巻く環境
現在、物流インフラを取り巻く環境は、配送需要の増大やサービスの多様化、2024年法規による労働力不足(いわゆる2024年問題)などにより深刻化。また、運行上の車両トラブルによる配送遅延を回避するため、これまで以上に安全管理を徹底することが重要になるなど、運輸事業主には、保有車両のメンテナンスへの投下リソース(時間・費用・人員)の合理化と安全な車両運行管理の両立が求められる。
トラック・バス用タイヤの状態管理アプリ「タイヤサプリ」を開発
以上のような物流インフラを取り巻く環境を背景に、トーヨータイヤでは、長年培ってきたトラック・バス用タイヤ(生産財)分野での知見を活かし、タイヤから取得した情報を活用するデジタル・ソリューションによって、物流事業者の課題を解決する取り組みに着手。
蓄積したデータをAIを駆使して解析することで、タイヤの摩耗状態を実測することなく推定できるモデルを構築(2020年7月に公表)し、その後も、同モデルを物流事業者の安全運行管理に役立てるべく、予測精度や機能性、視認性、そして操作性を向上させるなど、システムの開発を進めてきたと云う。
そして今回、物流事業者の協力を得ながら実証実験を重ねることで、車両の個別運行状況に応じて、リアルタイムで装着タイヤの状態変化をはじめ、走行環境情報を自動的に収集し、蓄積するアプリの「タイヤサプリ」を開発。併せて、ソリューションビジネスの事業化に向け、一部の顧客向けにテストマーケティングを開始した。
[主な機能]
タイヤサプリでは、物流事業者と当社がタイヤに関連する情報を共有していつでも、どこからでも確認できる状態を創設し、これを効果的に活用していくためのアプリで、以下の4つの機能を搭載する。
(1)摩耗予測表示機能
現在のタイヤ摩耗状態と将来に発生し得るタイヤ摩耗状態の予測結果を、タイヤの溝ごとに表示し、計画的な交換タイミングの立案・管理、ローテーションに活用できる。
(2)空気圧、温度モニタリング機能
タイヤの空気圧と温度情報をリアルタイムで監視し、日々のタイヤ点検の精度を向上。適正な空気圧を管理、維持することで、タイヤの性能を最大限に引き出し、運行の安全性を高めるだけでなく、環境負荷の軽減にもつなげることが可能。
(3)状態異常検知・通知機能
タイヤの残溝や空気圧・温度の異常を検知した場合、即座にメールで通知。重大な不具合を未然に防止、事故や故障のリスクを低減し、適正運行の維持に貢献する。
(4)タイヤの管理機能
装着しているタイヤや保管しているタイヤの情報を一元管理。アプリケーション内でタイヤを管理することにより、効率的なメンテンス業務に貢献する。
トーヨータイヤは、中期経営計画「中計’21」の成長戦略の一環としてソリューションビジネスへの挑戦を掲げていることから、今後も、物流事業者向けのユーザーオリエンテッドなソリューション(新製品・サービス)の提供を通じて、物流業界における課題解決に貢献していくとしている。
[問い合わせ先]
トーヨータイヤ コーポレートコミュニケーション部
電話(本社):072-789-9110(ファックス:072-773-3272)