東京海上日動火災保険は9月17日、日本版ライドシェア(※1)に対応する「移動サービス事業者向け自動車保険」を、来年1月に発売すると発表した。
この保険は、日本版ライドシェアを活用する移動サービス事業者が契約者となり、事故が発生した場合にライドシェアドライバーが契約している自動車保険に優先して補償を提供するもの。業界初(※2)となる1時間単位で保険料を算出する方式により、移動サービス事業者によるサービス提供の実態に即した保険料で加入できると云う。
※1:2024年4月より道路運送法第78条第3号を根拠に新たに創設された、地域の自家用車、ドライバーを活用し、タクシーが不足する場合の運送サービスを供給する自家用車活用事業を指す。
※2:2024年9月時点での東京海上日動火災保険調べに基づく。
1.背景
コロナ禍のタクシー需要の大幅な減少に伴って全国のタクシードライバー数が減少し、コロナ収束後もドライバー不足が継続するなか、インバウンド観光客の急増等もあり、地域・時期・時間帯によってはタクシーが捕まりづらい状況が発生。地域交通の縮小による住民の移動手段の不足等の深刻な社会課題に対応するため、タクシー会社の管理の下、一般ドライバーが自家用車を利用して有料で乗客を送迎することができる日本版ライドシェアが今年4月に解禁された。
東京海上日動では、地方都市や過疎地域の移動手段の確保を目的に自家用有償旅客運送等を提供する市町村やNPO法人に対し、ドライバーが契約している自動車保険に優先して保険金を支払う「移動サービス事業者向け自動車保険」を2021年2月より販売。
これにより、事故時に於けるドライバーの経済的負担を軽減し、ドライバーの担い手確保やより安心な制度運営を支援してきたが、今回、日本版ライドシェアが解禁されたことを踏まえ、従来の対人・対物賠償責任補償に加えて、人身傷害保険やレッカー搬送サービスを補償ラインアップに追加すると共に、1時間単位で保険料を算出する方式の「移動サービス事業者向け自動車保険」の販売を、来年1月に開始する。
2.商品概要
「移動サービス事業者向け自動車保険」では、移動サービス事業者が契約者となり、事故が発生した場合にライドシェアドライバーが契約している自動車保険に優先して補償を提供。また、日本版ライドシェアでは、ドライバーが時間単位で勤務することも想定されるため、日本版ライドシェアに対応する移動サービス事業者向け自動車保険に於いて業界初となる、1時間単位で保険料を算出して引受ける方式を原則(※3)として採用する。
<補償概要>
(1)対人・対物賠償責任保険:
移動サービス提供中の事故によって、ライドシェアドライバー等が他人にケガを負わせたり、車や塀等の他人の財物を破損させたりして、法律上の損害賠償責任を負う場合に保険金を支払う。
(2)人身傷害保険:
移動サービス提供中の事故によって、ライドシェアドライバーや乗客等が、ケガ・死亡した場合や後遺障害が生じた場合に生じる、治療費・休業損害・精神的損害・逸失利益・介護料・葬祭費等を補償する。
(3)ロードアシスト:
移動サービス提供中の事故等により走行不能になった場合等に、修理工場等までレッカー搬送を行い、レッカー搬送に必要な費用(車両搬送費用等)を支払う。
※3:事業者が各輸送記録等をアプリ等のシステムで一律に管理し、勤務データを同社に提供する場合に限る。
東京海上日動は、今後もライドシェア事業の実態とニーズに即した自動車保険商品の開発・提供を通じて、社会課題の解決に貢献していくとしている。