東京海上日動火災保険は11月11日、自動運転中に発生した事故であれば、自動車保険の保険金を支払った場合でも、更新契約の保険料負担が増えない取扱いとすることを発表した。
この取扱いは、2021年4月以降に始期となる同社のすべてのノンフリート自動車保険を対象に追加の保険料負担なく適用される。自動運転中のすべての事故を対象に、更新契約の保険料に影響しない商品を導入するのは、業界初の試みだ。
※自動運転は、レベル3以上の自動運転機能を使用して運転中の事故を指し、レベル2以下の運転支援機能(ハンズオフ可能な渋滞時追従支援システムや駐車支援システムなど)を使用中の事故は対象外となる。また、整備不良等により被保険者に責任が生じる場合等を除く。
2019年5月に道路交通法等が改正され、日本国内において、高速道路などの限定した領域で自動運転が可能な「レベル3」の自動運転車が走行できるようになった。「レベル3」の自動運転車であれば、一定の条件下では自動運転中の運転操作が不要なため、ドライバーは周囲の状況を注視することなく携帯電話を操作することなどが可能になる。しかし、万一事故が発生すると、事故の状況によっては、相手方への損害賠償責任がドライバー等に課されてしまう(対人事故など)。このような自動運転中の事故で保険金を支払った場合、現行の自動車保険では、保険料の割増引率を左右するノンフリート等級が下がるため、更新契約の保険料の負担が増えてしまい、保険加入者の納得感を得ることが難しいと想定されていた。
同社は迅速かつ漏れのない被害者救済を実現を目指し、業界で初めて「被害者救済費用等補償特約」を開発し、2017 年 4 月に提供を開始した。同サービスは自動車保険の業界スタンダードとなり、自動運転社会における被害者救済の体制構築に寄与している。
今回の改定により、事故のもう一方の当事者である運転者(加害者)の負担軽減を図ることで、自動運転技術が進展した社会でも、事故に関係するすべての当事者にとって自動車保険がより有効なインフラとして機能することに期待したい。