東京海上日動火災保険は、国内で空飛ぶクルマの試験飛行・実証実験を目指す企業に、保険の提供を開始した。今後、技術進展のプロセスで得られる知見を元に、随時新たな補償・サービスの開発も検討していく。
既存のインフラに依存せず、「電動」かつ「自動」で「垂直離陸」が可能な“空飛ぶクルマ”では、渋滞を避けた通勤等の都市での活用、救急搬送や迅速な物資輸送等の災害時の活用、過疎地・高齢化地域に移動手段を提供する離島・山間部での活用等の利用が想定されている。
その実用化に向けては、昨年8月に経済産業省及び国土交通省が「空の移動革命に向けた官民協議会」を発足し、12月の第4回会合において、「空の移動革命に向けたロードマップ」がとりまとめられた。
ロードマップでは、2019年の試験飛行・実証実験を経て、2020年代半ばには実用化へ、2030年代以降の実用化の拡大といった目標スケジュールが掲げられると共に、保険制度や被害者救済ルール等の必要性も明記されている。
これを受けて、東京海上日動は、国内で試験飛行・実証実験が開始されることに先立ち、空飛ぶクルマを開発中の企業に対して、保険商品の提供を開始した。
[保険商品の概要]
・空を飛ぶという特徴から、従来の「航空保険」をベースに第三者への賠償責任補償(対人・対物)をカバーする一方、補償の適用範囲を、飛行中だけでなく、“クルマ”として走行している状況下にも拡大した。
・また、保険約款上の“航空機”の定義を、有人航空機だけでなく、無人航空機(リモートコントロールのための装置等を含む)まで拡大した。
・なお、現時点では、試験飛行・実証実験は許可を受けた特定施設内でのみ可能なため、保険適用場所は、指定施設の敷地内(屋内・屋外)に限定。その施設が借用施設である場合は、その施設の損傷に対する賠償責任も補償範囲に含まれる。
更に今後、段階的に高度化していくとみられる実証実験の内容に合わせて、また新たな法整備などに随時対応しながら、迅速かつ柔軟な商品開発・改定を行っていく。
東京海上日動は、日本に自動車が1,000台ほどしか走っていなかった1914年(大正3年)、日本で初めて自動車保険の営業認可を取得。それから105年を経た現在、空飛ぶクルマについても、今回の保険提供を皮切りに、最先端のリスク研究と商品開発への挑戦を重ね、実用化、そして更なる拡大の時代到来まで、世の中に安心・安全を提供し続ける役割を果たしていきたいとしている。