東京海上日動火災保険は、米国、カリフォルニア州のSightCall社と業務提携し、7月から、Webブラウザ上で映像を共有しながら対話を行う「リアルタイムコミュニケーションシステム(以下、WebRTC)」を、事故や災害による建物等の被害状況の確認時に導入する。
このシステムの導入で、遠隔地にいながら早期かつ正確に建物等の被害状況を確認できるようになるため、より迅速な保険金の支払いが可能となると云う。
[背景]
台風や豪雨などが発生した際には、建物等の被害の状況を確認するため、保険会社の査定担当者や損害鑑定人が、現地での立会調査またはオフィスでの書類調査を実施し、保険金の支払い対象有無を判断した上で、対象となる場合は保険金の額を算定し、保険金の支払いを行う。
立会調査または書類調査のいずれの方法で調査を実施するかについては、被害の状況や規模等に応じて個別に検討しているが、立会調査については、査定担当者が保険契約者と日程調整をした上で、一件一件被災物件を訪問して算定するため、実際に訪問するまで、保険金の支払い対象有無の判断を行うまでに一定の時間を要している。
また、書類調査については、保険契約者から受領した現場の写真や被害額の見積書等から保険金の額を算定しきれない場合、追加で書類を要求したり立会調査に切り替えたりする必要が生じ、立会調査同様、一定の時間を要している。
以上のように、従来の調査方法では保険金の支払いまで一定程度の期間を要し、特に大規模な災害発生時には相応の時間と人員を要することから、より迅速に被害状況を確認するための体制を整備していく必要があった。
[取組みの概要]
東京海上日動は、SightCall社と提携し、同社のWebRTCシステムを7月から、主に損害調査プロセスで導入する。
10年以上にわたる遠隔ビデオアシスタント技術の開発経験を有し、世界80ヶ国以上への導入実績があるSightCall社が提供するWebRTCは、写真や動画を被災現場と遠隔地のオフィスの双方で共有しながら、画面上に書き込みを行うなどして、リアルタイムに双方向コミュニケーションができるシステムで、動画・音声が高解像で、通信も安定。
遠隔操作できる各種機能が充実しているだけでなく、活用場面に応じた柔軟なカスタマイズができ、さらに、各種クラウドサービスと連携して人工知能(AI)を活用した技術を組み込むことも可能だと云う。
東京海上日動は、このシステムの導入で、例えば被災現場にいる保険契約者や代理店と、オフィスにいる東京海上日動社員や鑑定人等をリアルタイムに接続。現場訪問までの時間や、必要書類の再提出の手間を減らして、早期かつ正確な被害状況の確認が可能になることで、迅速な保険金の支払いに繋がるとしている。
<活用事例>
・集中豪雨などによる水災の被害において、立会調査をせず、保険金の支払い要件(床上浸水または地盤面より 45cmを越える浸水の有無)の確認が可能。
・地震による被害に際して、被災地にいる社員が迅速かつスムーズに立会業務を行えるようになり、早期の保険金支払いが可能になる。
・漏水による被害において、漏水の原因箇所や被害の範囲を早期かつ正確に確認することが可能になる。
・その他幅広い事故において、見積書と照らし合わせながら、被害状況を確認することが可能になり、追加で多くの写真を提出する必要がなくなる。
東京海上日動は、最先端のテクノロジーを活用することで、更なる「安心」「安全」の提供に取り組んでいくとしている。
■SightCall(英語):https://sightcall.com/