東京海上日動火災保険は、デジタル通貨取引等を行う東京のディーカレット社と共同で、保険料の領収や保険金支払いなどの保険契約における業務プロセスを、ブロックチェーン技術を利用して自動化する実証実験を、3月に実施した。
1.背景
保険契約の際には、保険料の支払いや保険金の受け取りなど、様々な手続きが発生するが、デジタル通貨やブロックチェーンを活用し、業務プロセス・決済プロセスを自動化することで、手続きの効率化や迅速化が可能に。契約者の利便性向上や、保険会社の業務効率化・迅速化に大きく貢献することが期待されている。
そこで、東京海上日動はディーカレット社と共同で、デジタル通貨とブロックチェーンによる決済実証実験を実施した。なお、東京海上日動は、2018年1月にディーカレット社に出資をしており、本実証実験は資本提携業務の一環となる。
2.概要
実証実験では、ディーカレット社が現在構築している「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」を活用し、保険料の領収や保険金支払いといった業務プロセスの自動化に関する技術検証を行った。
具体的には、ブロックチェーン上に保険契約の情報などを事前登録し、事故が発生した際に当該事故情報をブロックチェーンに読み込ませることで、保険金支払い条件に合致したか否かを自動的に判定し、保険金をデジタル通貨で即座に支払いする仕組みの有効性について検証。
また、東京海上日動と東京海上日動の若手有志団体である Tib(※1)に対して、ブロックチェーン上でトークンを発行し(※2)、トークンを保険料や保険金と見なすことで、スマートコントラクト(※3)を用いた保険金請求支払業務の自動化に関する有効性を実証した。
※1:有志で集まった東京海上グループの若手社員が、大企業ならではの習慣やルールといった縛りを打開し、もっと自由に、夢中になって挑戦出来る「わくわく感」を社内に醸成するべく集まった団体。
※2:今回、同実証実験の関係者内でだけで使用するためのトークン(デジタル通貨)を発行。円との交換は行わない。
※3:送金や決済といった取引に伴うさまざまな処理を自動化する仕組み。
[ディーカレット社のプラットフォームの特徴]
ディーカレット社が構築したプラットフォームは、利用企業が独自にデジタル通貨が発行可能な機能を備え、スマートコントラクトを利用した処理の実装も可能。また、取引にまつわる一連のプロセスを効率化し、少額のやり取りもリアルタイムに実現。これにより、ダイナミックプライシングやリアルタイム決済といったブロックチェーンの特性を活かした幅広いサービスの展開を支援する。ディーカレット社は、プラットフォームの事業化を目指し、今後、既存の決済サービスへの価値移転や交換機能・サービスなど、デジタル通貨の利便性を高めるサービスの提供を増やしていく予定だと云う。
[会社概要]
<東京海上日動>
– 企業名:東京海上日動火災保険株式会社
– 所在地:東京都千代田区丸の内1-2-1
– 設立:1879年8月
– 資本金:1,019億円
– 代表者:取締役社長 広瀬 伸一
– 事業内容:損害保険業
– HP:https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/
<ディーカレット>
– 企業名:株式会社ディーカレット
– 所在地:東京都千代田区富士見 2-10-2
– 設立:2018 年 1 月
– 資本金:113.82 億円(資本準備金含む)
– 代表者:代表取締役社長 時田 一広
– 事業内容:
デジタル通貨の取引・決済を担う金融サービス事業
暗号資産交換業者 関東財務局長 第00016号
令和元年法律第28号附則第10条第1項に基づくみなし金融商品取引業者
– 加入協会:一般社団法人日本暗号資産取引業協会