東京海上日動火災保険は、イスラエルのAirobotics社と連携し、ドローンで撮影した画像を人工知能(AI)で解析することで、損害調査から修理費の算出までを行う取組みを開始する。
主に工場や倉庫で発生した被害に対して実施し、迅速な保険金支払に繋げていくと云う。
1.背景
近年、自然災害の大規模化や多発化等により、個人の住宅や家屋だけではなく、企業が所有・管理する工場や倉庫でも、大きな被害が発生している。
現在、自然災害等により工場や倉庫が損害を被った場合の保険金の支払は、被害状況の確認のために、保険会社の査定担当者や損害鑑定人が現地で立会調査を実施した被害の状況の調査結果(現場写真、被害額の見積書等)を元に、支払う保険金額が算定・精査された後に、行われる。
また、工場や倉庫では、特に屋根や屋上の被害を確認する際に、担当者の危険を伴うことから、詳しい損害調査が容易でない場合も。更に、大規模な物件になると、査定担当者が全ての損傷箇所を調査するまでに一定の時間を要していた。
東京海上日動では、これら時間を要する損害調査から修理費の算出を、テクノロジーを活用することで、正確かつ迅速に行う取組みについて検討してきた。
2.取組みの概要・効果
東京海上日動では今回、ドローンによる空撮技術や、画像の AI 解析に強みを持つAirobotics社と連携し、ドローンで撮影した複数の画像を人工知能(AI)で解析することで、迅速に損害調査から修理費の算出までを行う取組みを6月から開始する。
この取組では、Airobotics社が所有するドローンで撮影した工場や倉庫等の空撮画像を繋いで、正確に損害箇所や損害状況が把握できる画像データを作成。画像データをAIに解析させることで、自動的に具体的な損傷状況や損害額を迅速に算出する。
また、契約者の同意に基づき撮影した大量の画像データ、及び損害鑑定人等の画像診断結果をAIに学習させることで、精度を向上させていく。
3.期待される効果と今後について
ドローンによる空撮画像とAIの解析で損害額の算出までを行うことで、被害に遭った契約者から見積り等の受領から、損害鑑定人の報告書作成までの工程を大幅に効率化。
鑑定人による調査で、通常1ヶ月程度を要する保険金の支払い期間を大幅に短縮し、契約者への保険金の支払いを迅速化。また、広域災害の発生時等においても、迅速かつ多くの物件の損害調査を可能とする。
東京海上日動は、この取組みについて、主に企業が所有・管理する工場や倉庫等で発生した損害に対して実施するが、今後、個人の住宅・家屋などの被害への応用も検討するとしている。
[Airobotics社の概要]
– 本社所在地:イスラエル テルアビブ
– 代表:ラン・クラウス
– 設立年:2014年
– 従業員数:約150名
– 主な事業内容:
完全自律ドローンおよびAIデータ解析ソフトウェアの研究開発と販売
■Airobotics:https://www.airoboticsdrones.com/jp/