サンスターグループは8月28日、製造時や使用時の環境負荷低減を目的に開発を進めている熱処理廃止の鉄製ブレーキディスク、ローダストブレーキパッド(東海カーボン共同開発品)を、環境負荷低減シリーズ“Naturide(ネイチャーライド)“の新製品としてレース専用品として製品化する。リリースは2024年12月頃からの展開を予定している。
ちなみにサンスターグループは、持株会社サンスターSA(スイス・エトワ)を中心に、オーラルケア、健康食品、化粧品など消費者向けの製品・サービスをグローバルに統括するサンスター・スイスSA(スイス)と、自動車や建築向けの接着剤・シーリング材、オートバイや自動車向け金属加工部品などの産業向け製品・サービスをグローバルに統括するサンスター・シンガポールPte.Ltd.(シンガポール)を中核会社とする企業グループ。
今回、リリースを予定している同製品は、先月7月の鈴鹿8耐で起用され、8時間の耐久レースを通して確かなブレーキング性能を発揮し続け、チームの好成績に貢献した。
サンスターは、1960年代より二輪車用部品製造・販売を開始。世界を代表する数々の二輪メーカーにOEM部品としてブレーキディスク、スプロケット(歯車部品)を納入・トップクラスのシェアを誇る。
今回製品化を決定した環境対応ブレーキディスク、ブレーキパッドは、鋼材を加工性とブレーキ機能を両立させた材料に変更したことで、製造工程の熱処理が不要なため製造時のCO2排出量を半減させ環境負荷を大幅に低減させた製品となる。
脱炭素化などカーボンニュートラルを目指す動きが世界的に加速する中、金属加工事業は、製造・加工プロセスでの二酸化炭素の排出の多さや電気エネルギーの消費が課題となっていた。そこで自社事業を通じて環境負荷低減に貢献できないかと考え、環境対応ブレーキディスク、ブレーキパッドの開発に至った。
開発段階に於いては、「カーボンニュートラル(CO2排出実質ゼロ)への挑戦」を目指すスズキの「チームスズキCNチャレンジ」と連携し、パートナー企業の1社として環境性能と制動性能を両立させた開発製品を提供。
24年7月に開催された「2024 FIM 世界耐久選手権 “コカ・コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会(鈴鹿8耐)」に、チームスズキCNチャレンジが参戦し装着車が3位と8位に入賞した。
この結果、環境負荷低減の効果に加え、8時間にもおよぶ耐久レースでも優れたブレーキング性能を発揮することを証明され、関係者から高い評価を得た。このことから市場におけるニーズの高さも確認し製品化を決定した。
同社では、「今後も環境性能と制動性能の両立した製品の実用化を目指し、より環境負荷削減に貢献していきたいという想いを込め 、Nature(自然)+乗る(Ride)を組み合わせたシリーズ名、“Naturide”として展開予定です。
自然と共存する乗り物の次世代の世界観を表すネーミングとして親しみを持って頂けるように浸透させていきたいと思っております。
今後ディスク、パッドに限らず、スプロケット、チェーンなども開発していく予定です。さらには、オートバイ事業の分野に限らず、小型四輪・次世代モビリティなどのカテゴリーへ展開し、多方面でカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー実現へ貢献してまいります」と話している。
<環境対応レース専用ブレーキディスクの特長>
・ブレーキディスクの熱処理工程を廃止することで製造時のCO2排出量の約50%削減を実現
・摺動(しゅうどう)部にはディンプル小孔(くぼみ形状)を採用して、パッドクリーニング効果とクラック耐久性の性能を両立
<環境対応レース専用ブレーキパッドの特長>
・ディスクの熱処理工程廃止に伴い、専用ブレーキパッドを開発
・ブレーキの利きやコントロール性は従来性能同等を維持しながら、約15%の摩耗量削減(低ダスト化)
◇サンスターの二輪レースサポート:https://www.sunstar-engineering.com/ja/drive/racing
◇サンスターの市販向けブレーキディスク:https://www.sunstar-kc.jp/product-information/discrotor/