住友ゴム工業は3月1日、関西大学の谷弘詞教授と共同開発する「タイヤ内発電技術」を用い、タイヤ周辺センサーのバッテリーレス化に成功したと発表した。
タイヤ内発電技術は、静電気を利用した発電デバイス(エナジーハーベスト/※1)をタイヤの内側に取り付け、タイヤの回転によって電力を発生させるというもの。今回、摩擦帯電に係る構造と材料の最適化で発電電力を向上した他、充電機能追加するなどし、バッテリーを使用せずにタイヤ周辺に搭載するセンサーに電源供給することを可能とした。
住友ゴムでは、CASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ技術開発および周辺サービスのコンセプト「SMART TYRE CONCEPT(スマートタイヤコンセプト)」を掲げ、様々な技術開発に取り組んでおり、中でもタイヤを「センサー」としたソリューションサービスの提供を推進している。
今回、住友ゴムと関大の谷弘詞教授は、発電デバイスから電源制御回路へ充電し外部センサーへ給電・動作させるシステムを開発し、検証テストにおいてタイヤ速度50km/hで発電量800μW以上を確認。外部センサーを起動させて、BLE(Bluetooth Low Energy)による連続通信を実現した。
住友ゴムは、このタイヤ内発電技術が、タイヤセンシングの一番の課題であるセンサーデバイスの電池寿命を解決する手段となり、タイヤセンシングの実用化を大きく前進させるとしている。
なお、同テーマは2019年10月に国立研究開発法人科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)シーズ育成タイプ(※2)に採択され、同機構の支援を受けながら開発が進められている。
※1:環境発電。身の回りの使われずに捨てられている、光、振動、熱などのわずかな環境エネルギーを拾い集めて活用する技術。
※2:大学等の研究成果に基づく技術シーズの可能性検証および実用性検証を行い、中核技術の構築を目指す産学共同の研究開発を支援するプログラム。
■関西大学「タイヤ内に取付けた摩擦発電機を用いて無電源供給の検証に成功(プレスリリース)」:https://www.kansai-u.ac.jp/ja/assets/pdf/about/pr/press_release/2020/No61.pdf