ステランティスN.V.傘下のMobilisights( モビリサイツ )は3月20日( イタリア・トリノ発 )、同社のビジネス向け商品群( LCV )「ステランティス・プロ・ワン(STELLANTIS Pro One / シトロエン、フィアットプロフェッショナル、オペル、プジョー、ボクスホール)」へ最先端のフリート管理データパックサービスを提供。この取り組みを基に商用車事業のDX化を推し進めていくとした。( 坂上 賢治 )
このMobilisightsは、ステランティスグループがデータサービス事業に照準を据えるべく立ちあげた新事業部門。この新事業が立ち上げられたのは先の2023年1月5日であり、今日グループ内のコネクテッドカーは約1200万台規模程度だが、来たる2030年を目処に3400万台規模に成長させていく計画を打ち出している。
そこでまずは、現行規模上でのネットワーク接続を介したアプリケーション・ライセンスの供与・処理・分析を通じて、Data as a Service ( DaaS )を軌道に乗せていくことを目指す。そして路上を走るコネクテッド カーから数年間に亘って収益を上げられる仕組みを育て上げていく構え。
提供される具体的サービスは、これらコネクテッドカーの車載センサーから生成されるパラメーターを原資に、顧客が望むアプリケーションやサービスを創造していくというもの。この際、データの量と密度をコントロールすることなどで、他のデータサプライヤーへの依存度を低下させることも狙う。
その一例を挙げると当該データを使用して、使用状況に基づいたパーソナライズ保険を提供したり、道路上に於ける障害物を示して危険を検出したり、交通情報を提供したりするもの。それゆえ、これらの製品は民間企業、公共部門、教育研究機関も問わず提供される。
一方で、運行車両からの収集データを基に新たな商品を生み出す際にはプライバシー問題も引き起こす。従って同社は、顧客の同意を得た上で顧客が同意した匿名データのみを共有することなど、非常に厳格なデータガバナンスとプライバシーポリシーの範囲内で当該事業を慎重に展開するという。
ちなみに自動車メーカーが、車両販売、修理、融資以外の収益源を開拓していくこのような取り組みでは、既に他の自動車メーカーも同様の取り組みを始動させている。例えば、ゼネラルモーターズは、2020年にコネクテッドカーサービスのOnStar( オンスター )から収集した膨大なデータ分析から独自の保険サービスの提供を開始した。
対してMobilisightsも先例に倣い、シトロエン、フィアットプロフェッショナル、オペル、プジョー、ボクスホールから年間数十億ドルの収益を生み出すための基本的な枠組みを示した。そこから生まれるサービスから企業の成長のみならず、消費者の日常生活を継続的に改善していく「よりスマートな世界」を目指す構えだ。
こうした取り組みについてMobilisightsのサンジブ・ガテCEOは、「2024年モデルの車両価格に含まれているサブスクリプションモデルを通じて、最大4年間に亘ってデータパックサービスを提供します。
お客様は、データの包括的な特性、フリート管理ソフトウェアプロバイダーとの統合の容易さ、手間の掛からないアクティベーションの利便性、フリート管理のための魅力的な独自サービスの価値を提案高く評価頂けるものと自負しています。
また今後も引き続き、Stellantis Pro Oneと協力して商用フリートサービスの効率性、安全性、持続可能性、技術的競争上の優位性を高めていき、事業者様向けコネクテッドサービスに係るStellantis Pro Oneの更なる献身を高めていきます」と結んでいる。